洗剤を使わないコインランドリー、デジタル化で省エネや防犯対策も
記事のポイント①wash-plusは「洗剤を使わないコインランドリー」を全国47店舗に展開する②アトピーに悩む人も利用できるように、洗濯にはアルカリイオン電解水を用いた③デジタル化で利便性を高めるとともに、省エネや防犯対策にも取り組む
「洗剤を使わないコインランドリー」を全国47店舗で展開するwash-plus(ウォッシュプラス、千葉県浦安市)。同社は2013年、アトピーに悩む人も利用できるように、アルカリイオン電解水を使用した洗濯技術を開発した。同時に、専用のスマホアプリの開発など、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、ユーザーの利便性と環境負荷低減を両立する。高梨健太郎社長と広報室の大田紀子さんに話を聞いた。(オルタナ副編集長=吉田広子) wash-plusのコインランドリー「wash+」は、オルタナとサステナ経営協会が共催する「サステナブル★セレクション2024」の三つ星に選ばれました。次回の一つ星エントリーは、2025年1月14日まで受け付け中です。エントリーフォームはこちら
■ 誰でも安心して使えるコインランドリーを
――洗剤を使わないコインランドリー「wash+(ウォッシュプラス)」は、アルカリイオン電解水を使用しています。どのように汚れが落ちるのでしょうか。 大田:アルカリイオン電解水には、「石けん効果」「浸透・膨潤効果」「剥離効果」「乳化・分散効果」があります。アルカリイオン電解水が、油脂やたんぱく質などの汚れに素早く浸透し、汚れを分解して、物体から汚れを剥離させます。シンプルな仕組みですが、洗剤と変わらない洗浄力があります。 洗剤を使わないことで、節水にもつながります。一般的なコインランドリーは、洗濯物に残った洗剤を落とすために「すすぎ」の工程が2回あります。ウォッシュプラスは、洗剤を使わないので、すすぎが1回で済みます。洗濯工程も含めて、3分の1以上の水を節水できるのです。 最近では、掃除用品として、アルカリイオン電解水は一般的になりましたが、コインランドリーに応用するのは、当時は前例がないことでした。 ――高梨社長は、2011年に発生した東日本大震災がきっかけで、「人の役に立つ」新たなビジネスを立ち上げたいと考えられたそうですね。家業の不動産事業との親和性やニーズの大きさから、コインランドリー事業に決めたそうですが、なぜアルカリイオン電解水を使うことにしたのでしょうか。 高梨:当時、長女が1歳で、妻から「入浴後は保湿クリームを塗るように」と言われていました。それをさぼっていたのがばれて、注意されたのです。 話を聞くと、アトピー性皮膚炎は後天的な要因でも発症することや、子どものアトピーで悩んでいる人がたくさんいることを知りました。洗濯にも気を使い、粉石けんで洗濯するのが定番だと言います。こうした困りごとを解決したいと考えました。 そこで、はじめは粉石けんのコインランドリーを検討しました。ただ、コインランドリーは液体洗剤が主流で、粉石けんを使える機械がありませんでした。しかも、粉石けんは、洗濯槽に残りやすく、カビが生えやすいのです。 どうすればみんなが安心してコインランドリーを使えるのか。ほかのコインランドリーと差別化して、付加価値を付けられるのか――。悩むなかで、思い出したのが、ある施設で見かけた「水で油が落ちる」と書かれたアルカリイオン電解水のポスターでした。 「水で油が落ちるのであれば、洗剤が要らなくなるのではないか」。そう考え、早速、製造元に話を聞きに行きました。もともと、そのアルカリイオン電解水は、鉄に付いた機械油を落とすために工業用に開発したということでした。 そこで20リットル分購入して、コインランドリー用に改良できないか、実験を始めました。9カ月ほどかかったと思いますが、業務用クリーニング機器専門メーカーの山本製作所(広島県尾道市)の協力を得て、アルカリイオン電解水の洗濯技術を開発しました。 そうして2013年6月、浦安市内にウォッシュプラスのコインランドリー1号店を開きました。現在は、直営22店舗、フランチャイズ26店舗を展開しています。