洗剤を使わないコインランドリー、デジタル化で省エネや防犯対策も
■ デジタル化が洗濯物の放置や盗難予防にも
――2017年にはスマートフォンアプリ「smart laundry(スマートランドリー)」を開発しました。なぜコインランドリーのデジタル化を進めているのでしょうか。 高梨:コインランドリーは需要が急増している一方で、さまざまな問題を抱えています。 24時間営業している店舗は多いですが、店内にお客さんがいるのを見たことありますか。おそらく週末の午前中など、混む時間帯が決まっていると思います。稼働率は全国平均で1割以下です。 一方で、洗濯物の放置の問題があります。コインランドリーは、洗濯機のシェアサービスといえます。シェアカーであれば、車が返却された後、人が乗り続けていることはありません。しかし、コインランドリーの場合、前の人の洗濯物が残っていることがよくあります。 放置されている間も、機械は電気を消費しています。乾燥が終わった後にそのまま置いておくと、中心部に熱が溜まって、火事になることがあるのです。ですから、今のコインランドリーは、熱を逃すために、定期的に回るようになっています。 スマホアプリのスマートランドリーでは、ユーザーは混雑状況を確認できるほか、終了通知が届くので待ち時間を有効に使えます。飛行機のマイレージのように、ランクアップの仕組みがあり、上位のステイタスになると、予約機能が使えるようになります。洗濯や乾燥の終了後、3分以内に引き取ると、ポイントが倍たまるというインセンティブもあります。 放置時間を減らして回転率を上げることで、ユーザーの利便性が向上するとともに、オーナーにとっても経済的なメリットが生まれます。もちろん省エネにもつながります。 ――インセンティブを与えることで、ユーザーの行動変容を促しているのですね。ウォッシュプラスでは、早くからキャッシュレス決済を導入していますが、その理由は。 高梨:キャッシュレス化は、防犯対策にも有効です。最近は、コインランドリー強盗が増え、実は当社の店舗も4回、狙われました。 コインランドリーは24時間営業が多いため、常にお客様が店舗にいる可能性があります。安全面を考慮し、現金の入った両替機を設置しないことが重要なのです。 環境面でも、現金を銀行に預けるための車の移動を減らせます。さらに、直営21店舗のうち15店舗で電力を太陽光発電に切り替えました。今後も店舗運営に伴う環境負荷の削減に努めていきたいと考えています。 ――ホテルや旅館のランドリールームで、ウォッシュプラスの導入が増えているそうですが、どのような点が評価されているのでしょうか。 大田:宿泊施設向けのランドリーサービス「wash+ Comfort(ウォッシュプラス コンフォート)」を展開していますが、近年は、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目指す宿泊施設が増えています。 ウォッシュプラスは洗剤を使用しないので、アレルギー体質の方でも安心して使えるほか、節水や排水汚染の防止にも寄与できる点が評価されていると感じます。 また、オリジナルのカーボンブラックデザインの外装は、ホテルの空間に調和します。ウォッシュプラスは多言語対応も可能で、キャッシュレスですので、外国人観光客のニーズにも応えられると思います。