「無意味に子どものプライベートゾーンを触らない」保育士・てぃ先生が伝えたい幼児向け性教育のポイント #性のギモン
一般的に「水着で隠れる部分と口」はプライベートゾーンと呼ばれ、性教育においても“他人に見せない、触らせない、自分だけの大切な場所”とされている。現役保育士・てぃ先生は「たとえ両親であっても無意味に子どものプライベートゾーンに触れることは避けた方がよい」と言う。日頃から幼児と接し、保護者から性教育の悩みについて相談を受けることも多いてぃ先生に、幼児向け性教育のポイントを聞いた。(Yahoo!ニュース Voice)
男女の体の違いに興味を持ち始めたら、性教育を始めるタイミング
――てぃ先生は、幼児への性教育はいつから始めたらいいと考えていますか。 てぃ先生: 明確に何歳からと決める必要はないと思っています。「5歳になったら必ず」とか「小学生にあがるまでには絶対」などと決めてしまうと、お子さんが嫌がってしまうこともあるからです。大切なのは、お子さんが興味を持ったタイミングを大事にすることですね。 とはいえ、親の同伴なしの行動が増える小学校に進学する前に、ある程度の性教育をしておいたほうがいいでしょう。いわゆる「プライベートゾーン」などの問題や防犯の観点からも、知識を持ったうえで行動できたほうが安心だからです。 ――てぃ先生自身は実際に、どういったタイミングで性について教えてきましたか。 てぃ先生: お父さんやお母さんの体を見て、「男の人と女の人ではどうして体が違うのか」が気になったり、そういった質問が出てきたりするタイミングを一つの目安にしています。 あとは、よくあるのが「オシッコ」「オシリ」「オッパイ」などの言葉を連呼する時期ですね。こういった言葉が出てくるのは大体3歳ごろですが、そういうのを叱って制するのではなく、そのタイミングでちょっとお話をしてみるといいと思います。でもそれも、あくまで目安。そこで根を詰めて教え込むよりは、ステップを大事にして徐々に伝えていくことを意識した方がいいですね。
自分の子どもがいくらかわいくても、無意味にプライベートゾーンを触ってはいけない
――てぃ先生はプライベートゾーンについて、幼児に対してどのように伝えていますか。 てぃ先生: 一般的な「水着で隠れる部分とお口」というのが一番わかりやすいかなと思います。僕自身も最初のステップとして、そういう伝え方をすることが多いですね。 ただ現代では、男の子でも自分の胸を見られるのがいやだとか、恥ずかしいと感じるお子さんもいます。これからはプライベートゾーンの範囲や内容を考慮する必要もあるとは思っています。 ――プライベートゾーンに触らせてはいけない理由など、具体的にどう話したらいいのか難しいと感じている保護者の方も多いようです。 てぃ先生: ストレートに伝えるというよりは、本当にお子さんが気になっていることから徐々に事実として伝えていくことが大事かなぁと考えています。「こういう行為をすれば子どもができる」とか「こういう犯罪者がいるから触らせないように覚えなさい」といった伝え方では、お子さんも興味を持てなかったり、恐怖心みたいなものが芽生えたりしてしまう可能性もあります。 子どもがまだ気になっていないことや質問もしてこないことを大人がどんどん教え込むのではなく、子の興味や関心に合わせて答えていく方が、親子とも無理なく進められます。気になったことに親がきちんと答えてくれれば、子ども側も「性教育の内容はちゃんと聞いたほうがいいことだ」という意識も進みやすいと思いますね。 性教育もお勉強と同じです。親や大人がガーガー言ったらやっぱり子どもって興味をなくしますし、その言葉が聞こえただけで「あーもうヤダ!」ってなっちゃうことも多いですから。 ――幼児の場合、保育士さんやお医者さんなど、親以外の大人がプライベートゾーンに触れるケースも少なくありません。そういう場合に、大人が接するときの心がけを教えてください。 てぃ先生: 子どもたちも決して何も考えずに生活を送っているわけではなく、僕たち大人が考えている以上にいろんな物事を推し量りながら生きていると思うんですね。大人がプライベートゾーンに触れるのも、それがお世話にかかわることだから、触っていいよって心を開いている状態なわけです。 ただ、「無意味に触ること」はいけないことです。無意味に触られたら誰だって嫌ですよね。自分が一生懸命遊んでいるときに、お父さんやお母さんが唇を触ってきたら、いくら相手が親でも嫌がりますよ。 例えば、1~2歳くらいの子どもがお風呂あがりに裸で歩いていて、かわいいからという理由で、おしりを触る。これはお世話をしているわけじゃなくて「無意味」です。そうやって不用意に触ることが日常の中で繰り返されていくと、誰に触られても気にならない、誰に見られても大丈夫、となってしまう危険性や心配はあり得ると思います。 それは、大人側が気を付けないといけないことですね。いくらかわいくても、自分自身の体ではない、他人の体ですから。愛情表現の一つかもしれませんが、性教育の観点では、不用意な接触は避けた方がいいでしょうね。