300万円費やした「小学校受験」で全滅…東大卒母が痛感させられた、わが子と他の子たちの“大きな差”
加熱する中学受験を回避するためか、あるいは幼少期から子どもに最適な環境を、と願う親が増えたためか、小学校受験、いわゆる「お受験」は年々その熾烈さを増しているようだ。都内の難関校は11月1日から考査が始まり、現在は国立小学校を残すのみで結果はほぼ出揃っている。 小学校受験で長男合格、次男不合格…その後にわかった「公立小でよかった3つのこと」 小学校受験は中学校受験とは異なり、考査の内容が多岐にわたる。学校によって多少の差はあるが、幼少期からのお教室通いはもちろんのこと、お手伝いや両親との触れ合いといった日常生活から豆まきや稲刈りなどの季節行事に至るまで、長期間、全方位的な取り組みが求められる。 それでも、首都圏で「名門校」と呼ばれる学校の定員は各校100名前後に留まり、全ての子どもが合格を勝ち取ることができるわけではないのが、お受験の現実である。 今回の記事では、昨年小学校受験を経験した夫婦共に東大卒というA美さんのエピソードを紹介する。A美さん一家は、子どもの難関校入学を目指し、年少からお受験に取り組み、考査に挑んだものの、ご縁をいただける学校は一つもなかったという。そしてお子さんは今年の春、区立小学校に入学した。
国立小学校をメインの志望校に設定していた
「お受験を志したきっかけは、私自身が国立の小中高一貫校を卒業していたため、子どもが生まれた時からなんとなく母校に…と考えていたことです。公立小学校の教育では物足りない、という話を多数耳にしたことも一つの理由です。 夫婦とも東大卒のため子どもの能力には漠然とした自信があった一方で、自分たちの時代と比較して競争率や試験の難易度が飛躍的に上がっていることや、綿密な準備が不可欠である事はX(旧Twitter)などを通じて理解していました。 そのため、お教室については大手から個人まで色々情報を集め、価格面なども考慮して結局志望校に実績のある個人経営のお教室を選び、年少の秋から通い始めました。国立小学校をメインに考え、私立小学校を志望する気持ちが当時はほぼ無かったため、私立で求められるような高度な絵画や体操、お行儀重視の行動観察といったものへの対策は不要だと考えていました」 A美さんは、自身のお受験へのスタンスをこう説明してくれた。しかし、当初関心の無かった私立小学校も勉強を続ける中で結局受験することとなり、これらの対策の「不十分さ」を痛感させられた、という。 「お教室の先生から、国立の抽選結果が出る前にもいくつか実際の考査を受けるよう勧められたことから、私立に4校出願し、共学1校、伝統非共学校の2校を受験しました。その時点でも実際の通学は考えておらず「どうせ受けるなら…」とミーハー気分で、いまとなっては名前を出すのも憚られる超難関校ばかり受験したので、当然全て不合格でした。 服装など見た目の仕上がりやペーパーの出来などはまだ他の子と肩を並べられるレベルだったのですが、それ以外の部分、行動観察や体操などでの無駄のない動き、表情、受け答といったいわゆる「仕上がり」に歴然たる差があったのだと思います。 一方の国公立は4校に出願し、3校は抽選で外れました。かろうじてチャンスを得た1校は、せっかく抽選に通ったものの残念ながら不合格でした」 このように聞くとA美さんの対策が全く不十分であるかのようにも聞こえるが、ともに高学歴で受験経験者でもあるA美さん夫婦が、妥当だと思える範囲内で子どもの完成度を高めるため、相応の金額と時間を費やしたことは言うまでもない。