好きという気持ちを証明せよ!不器用な理系男女のラブコメディ『理系が恋に落ちたので証明してみた』
人を好きになることは、単純なようで説明が難しい。どうして好きになるのか、どこが好きなのか、本当に好きなのか、をいざ考え始めると難しい。「好き」とはいったい何かと悩んだことがある人も多いのではないだろうか。
『理系が恋に落ちたので証明してみた』(山本アリフレッド/フレックスコミックス)は、理系院生の男女が「好き」の感情を真剣に考えるラブコメディだ。不器用な登場人物たちの恋路に笑いがこぼれつつも、2人のもどかしく甘酸っぱい距離感にときめくこと間違いなしだろう。 理系大学院に通う才女・氷室菖蒲は、同じ研究室に所属する雪村心夜に告白する。だが恋愛経験ゼロの2人は、恋愛感情が何かわからない。理系院生として「好き」を理論的に証明する必要があると考え、恋の証明実験を始める。「壁ドン」「顎クイ」「袖クル」で心拍数を測定したり、「好き」の構成要素を整理したり…。研究室の個性豊かな仲間を巻き込みながら、2人は実験を繰り返していく。頭脳明晰な面々が真剣に「好き」に向き合っていくのだが、その理屈っぽさには思わずツッコミたくなる。 特に理系出身者には、お馴染みの単語や共感できる箇所も多いのではないだろうか。もちろん、理系用語に苦手意識が強い方も楽しめるので安心してほしい。恋愛の証明実験をする2人を見ているうちに「判定問題」「チューリングマシン」などの難しい用語も自然と理解できてしまうのだ。また本編とは別に「リケクマの投げやり理ア充用語解説コーナー」があり、作中に出てくる難しい理系用語をわかりやすく解説してくれる。ラブコメ作品として気軽に読んでいるうちに理系の世界を自然と学べるうれしいコミックなのだ。 なによりも「好き」という曖昧な感情に、真摯かつ熱心に向き合っていく2人にきっと心が動かされるはずだ。恋に悩む人、理系の人、ちょっぴり理系は苦手な文系の人…全ての人にオススメしたい、笑いありトキメキあり豆知識ありの“リケコメ”作品をお楽しみあれ。 文=ネゴト / fumi