うそをつくと選手には分かっちゃう。「優勝請負人」工藤公康さん プロ野球のレジェンド「名球会」連続インタビュー(33)
1999年ですかね。アメリカに行こうと思って代理人も決めました。とにかく3年間はやりたいと、お金は少なくてもいいから3年間のメジャー契約を取ってほしいという話を代理人にしたのを覚えています。まあ結果的に、それがなかったんです。3年分のお金を出してくれる球団もあったんですよ。ただ、3年のメジャー契約はできないって。よくよく契約ってどんなものか後で知ったら、なるほどなと。成績を残せていないのにメジャー契約をするっていうのはね。成績を残せれば当然また1年、また1年っていうのができたんでしょうけど。まずはメジャーで3年挑戦できる権利を得たいって考えてしまった部分もあり、そこがうまくいかなかったと思うんです。 大リーグの魅力というよりは、システムとか練習とか人の考え方とか、いろんなものを知りたいっていう思いはありましたね。向こうの厳しさ、例えば飛行機で移動して時差とかどうするのか、夜中に飛んで朝着いて夜のゲームの時はどう練習しなきゃいけないか、施設も含めていろいろ知りたかったんです。 ▽選手たちに対して独りよがりな発言をしないように
監督をやっている時は選手が少しでも良くなるために、あえて厳しいことも言わなきゃいけませんでした。やっぱりプロなので競争の世界も知ってもらわなきゃいけない。悩んでいる選手にアドバイスができるように常日頃から見ておかなきゃいけないのもあります。精神的に成長してほしいなと思って、ある程度自分でやりなさい、考えてきなさいっていう部分も必要になるので、それはいろんなTPOに合わせました。 今の選手たちはすごく真面目なんですけど、真面目であるがゆえに、ちょっと打たれると自分の考えが正しいんだろうかとか、このままやっていって大丈夫なのかと不安に陥るケースがあります。そういう時は「継続ってすごく大事なことなんだよ」って話をします。彼らを理解してあげると何を望んでいるのか分かるんです。それがなかなかできないと、どうしても(指示が)独りよがりになってしまうので、そうならないように。監督7年間で学んだのは、そういうところですね。