3位は野間口徹、2位は坂東龍汰、1位は…国内ドラマ「2024年俳優ランキング」男性部門ベスト10
■もう圧巻の名演でした 2位 坂東龍汰 42点 ミリ単位で心情変化を表現する珠玉の名演 どこか頼りない、気のいい青年役でキャリアを重ねてきた坂東。今年は「366日」(フジ)でヒロインたちの同級生役、「RoOT」(テレ東)で河合優実とW主演で新米探偵役をこなしてきた。 天然で悪気もなく頼りない感じが彼の持ち味と決めつけてきたことを反省したのが「ライオンの隠れ家」(TBS)だった。柳楽優弥演じる主人公の弟で、自閉スペクトラム症の青年・美路人を好演。いや、好演どころの話ではない。びっくりした、うますぎて。 美路人は日常生活で時間や順番に強くこだわりがあり、イレギュラーな事柄にはパニックを起こしてしまう特性がある。その繊細かつ敏捷、多発的な動きには目をみはるものがあった。坂東は相当な研究をしたはずだ。この美路人役だけで大賞を授けてもいいくらい、圧巻の名演だった。 え、だったら誰が1位なのよ⁉ 結婚のご祝儀も含めて、あの人に進呈。 ■ヒロインの伴走者として理想的な存在だった 1位 岡田将生 50点 「なるほど」の説得力、笑みの奥に秘めた罪悪感 「不適切にもほどがある!」では昭和からタイムトリップしてきたヒロインをもてなすもスマホをなくすイケメン美容師青年役、「錦糸町パラダイス」(テレ東)では密かに人の裏の顔を晒して社会的に制裁を与えるジャーナリスト役、「ザ・トラベルナース」(テレ朝)では毒舌凄腕ナース・歩ちゃんとして、中井貴一とともに、新たなテレ朝シリーズ戦略に貢献した。 そして、セックスレス夫婦の行く末を描いた「1122 いいふうふ」(Amazon Prime Video)では、高畑充希と夫婦を演じ、実際に結ばれたわけだ。セックスに対する温度差を解消し、仲良く暮らすための自由恋愛を試す夫婦の物語だが、岡田は妻公認で愛人との逢瀬を楽しみながらも、その複雑な心境を表現。笑うに笑えない激痛シーンも含めて、正解のない夫婦の在り方を描いた問題作でもあった。 最大の功績は言わずもがな「虎に翼」で演じた、寅子の2番目の夫・星航一役である。品のある微笑みの奥に、とてつもなく大きな罪の意識と喪失感を抱えている難役だった。 裏表なく猪突猛進の寅子に一種の憧れや嫉妬を見せながらも、徐々に愛情を募らせていく姿が麗しかった。「ちちんぷいぷい」でキャラ崩壊したり、老けメークがイマイチというツッコミどころはあったものの、ヒロインの人生の伴走者として理想的な存在であり続けたと思う。ありがとうとおめでとうをこめて。 ざっと眺めると、やはりNHK贔屓になっちゃってるな。2位はTBS、3位はフジの印象。テレ東にはエッジを取り戻してほしいし、日テレはいろいろな意味で呪縛から抜け出してほしいし、テレ朝には頑張れとしか言いようがない。 俳優がはじけられる問題作をお待ちしております。 ---------- 吉田 潮(よしだ・うしお) ライター 1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。 ----------
ライター 吉田 潮