美容医療ボトックス注射で「首がグラグラ」、胃や唾液腺に打つ人も…韓国での施術や未熟な医師によるトラブル増加の背景
美容医療として一般的にも広まったボトックス。だが、Xでは首にボトックスを打ったらグラグラになったという投稿があったり、芸能人が失敗したという話題も。SNSなどで情報が氾濫しているがゆえに、患者みずから「ここに注射を打って、こう変わりたい!」と具体的に望むことも多いボトックス。身近な施術だからこそ、本来はどんな薬で、どこに危険が潜むのかを知り、安全な施術を心がけてほしい。トラブルに見舞われないための心得について、クリニックフォア監修医兼ナチュラルスキンクリニック院長の皮膚科専門医の圓山尚(えんやまたかし)先生に聞いた。 【ビフォーアフター】ブタゴリラが整形で転生!?ボトックスに脂肪吸引、整形でどうなった? ■美容のため首にボトックスを打ったらグラグラに? 対処法は「時間が経つのを待つしか…」 ――そもそも、ボトックスはもともと美容のために開発された薬なのですか? 「違います。筋肉を緩めて収縮を抑える作用があることから、頭が横を向いたり倒れてしまう痙性斜頸の患者さんや、脳梗塞の後遺症で手足が動きにくかったり、意図しない動きをしてしまう患者さんの治療に用いられてきました。その後、咀嚼を司る咬筋の緊張を緩和することで食いしばりを改善できることから、顎関節症の治療や、汗や皮脂の分泌を抑える作用があることから脇汗や手汗がひどい多汗症の治療にも用いられています」 ――なぜ、それが美容の分野で用いられるように? 「ボトックスを打って筋肉の働きを弱めれば、シワがときほぐれて改善されるということで、美容医療の領域でメジャーになりました。近年は、エラ張りなどの小顔効果を期待して咬筋に打つことをはじめ、美容医療での適用部位は多岐にわたっています」 ――Xで話題になった首へのボトックス注射ですが、首に打つとどのような効果があるのですか? 「筋肉の収縮を抑えると、筋肉はだんだん痩せていきます。筋トレをやめると腕や脚が細くなるのと同じで、首の太い筋肉に打つと首が細くなります」 ――打った人は首がグラグラになってしまったとのことですが。 「首の太い筋肉は頭を支える役割を担っているので、そこに打ち過ぎると、首が座らない赤ちゃんのようになってしまうんです」 ――怖いですね…。治るのでしょうか? 「時間の経過とともに効果は薄れてきますし、だいたい3~4ヵ月で元に戻ります。ボトックスの作用を抑える効果が見込まれている中和剤のようなものも存在するのですが、正直、あまり効果は期待できず、時間が経つのを待つしかないですね」