美容医療ボトックス注射で「首がグラグラ」、胃や唾液腺に打つ人も…韓国での施術や未熟な医師によるトラブル増加の背景
■小顔のために首や唾液腺に注射、口臭や虫歯、飲み込みにくくなる原因に
――ボトックスを首に打つ人は多いのですか? 「最近増えていますね。首を細くするという目的では、結婚式でドレスを着る前に首のラインをキレイにしたいという方がよくいらっしゃる印象です」 ――小顔になる効果もあるのですか? 「首の前部にあるカーテンのような薄い膜上の広頚筋にボトックスを打つと、小顔効果が得られます。口をイーという形にしたときに筋が出る部分で、下に引っ張る筋肉と上に引っ張る筋肉が常に綱引き状態になっているのです。注射を打って下に引っ張る筋肉の働きを抑制すると、上が勝って、フェイスラインが上がって小顔効果が得られます。 また、唾液腺の一つで、顎下にある顎下腺というボール状の器官があるのですが、そこにボトックスを打つと、肥大化した唾液腺が小さくなって、小顔や顔痩せの効果が期待できるということで、施術を希望される方がいらっしゃいます。ただ、僕は唾液腺へのボトックス注射はあまりお薦めしていません」 ――なぜでしょう? 「唾液腺にボトックスを打つと唾液の分泌を抑えてしまうので、口臭や虫歯の原因になります。また唾液腺の周辺には、ものを飲み込む筋肉が走っているので、万が一そこに当たってしまったら、食べ物や飲み物をとりにくくなってしまいます」 ■トラブルが多い部位も…「指が動かなくなっても」腕に打つモデル、胃に打つ目的は? ――他に近年、増えている部位はありますか? 「人中(鼻と唇の間)が長いと面長な印象になることから、人中短縮ボトックスを希望する人も近年増えています。ただ正直、打ってもあまり変わりません。むしろ口が閉じにくくなり、口の上のほうにご飯粒など食べ物が溜まりやすく、うがいもしにくくなる。効果よりはトラブルのほうが大きいと感じています」 ――顔周り以外の部位はいかがですか? 「モデルの方で、細くするために腕に打つ方がいます。指が動かなくなってしまうのですが、どうしても細く見せたいと定期的に打たれています。また、胃にボトックスを注射して胃の運動を抑えると食欲が落ちて痩せる、というダイエットもあります。あとは、鼻腔内にボトックスを浸透させると鼻水や鼻づまりを軽減させられるということで、花粉症治療としても最近は行われているようです」