パートナーとの強い絆から生まれた、ベンジャミン・ブリテンの代表作【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ブリテン オペラ『ピーター・グライムズ』 パートナーとの強い絆から生まれた代表作
今日6月7日は、20世紀イギリスを代表する作曲家、ベンジャミン・ブリテン(1913~76)のオペラ『ピーター・グライムズ』の初演日です。 5歳頃からピアノを弾き、ロイヤル音楽カレッジで学んだブリテンは、映画や舞台のための音楽、器楽曲、声楽曲など幅広いジャンルの作品を残しています。 特にオペラにおいては、21歳のときに聴いたベルクのオペラ『ヴォツェック』から受けた衝撃が創作の原動力となったと伝えられます。さらには生涯に渡るパートナーであったテノール歌手、ピーター・ピアーズの存在も大きく、手がけたオペラはすべてピアーズが歌うことを想定したものでした。 ジョージ・クラップの詩を題材とした代表作『ピーター・グライムズ』もその1つ。1945年6月7日、ピアーズを主演としてロンドンのサドラーズ・ウエルズ劇場で行われた初演は大成功を収め、その後もイギリス国内はもとより、ミラノ・スカラ座や、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場でも上演される人気作となっています。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。