海外でも「貯蓄+公的年金」では豊かな老後は難しい 世界標準の老後の資産の増やし方とは
「世界一お金持ちの国、アメリカやスイスはなぜ豊かなのか」という答えは、預貯金を保有している割合の低さ、つまり、いかに積極的に資産運用を行っているかにありそうです。 主要国の家計金融資産(1人当たり)の推移を比べると、資産額が最も大 きいのはスイス(約35.4万米ドル)、アメリカ(約33.2万米ドル)、スウェーデン(21.5万米ドル)、日本(17.8万米ドル)、ドイツ(12.8万米ドル)と続きます(OECD Household financial assets 2022年時点)。
家計金融資産(1人当たり)の長期推移を見ると、アメリカでは2000年に約12万1600米ドルが、2022年に33万2135米ドルと約2.7倍に、スイスでは2000年に12万2665米ドルが、2022年には35万4352米ドルと約2.9倍に、スウェーデンは2000年に5万4511米ドルが2022年に21万5397米ドルと3.95倍に、日本では、2000年に約7万8000米ドルが、2022年に17万8945米ドルと、2.29倍に伸びています。
アメリカの金融資産の内訳を見ると、39.2%が株式、11.5%が投資信託で保有しています。同じく資産の伸びが大きいスウェーデンでも株式の割合が36.3%、投資信託が8.8%とリスク資産の割合が高いことが分かります。スイスやドイツに関しては株式の割合は高くないものの、投資信託の割合は高くなっています。 もちろん欧米企業と日系企業とでは長年蓄積されたインフレ率の差から給与水準の違いもあります。ですが、彼らは積極的に転職をする、女性も働いてダブルインカムを作るなどをして、収入を増やす努力もし続けています。結果的にたくさん消費をしても余裕資金が生まれるので資産運用にも回すお金ができるという好循環を作れているように感じます。
■世界標準とは異なる日本人の老後に対する考え方 「老後2000万円問題」がメディアで話題となったこともあり、若年層の間でも老後が不安という方は多くいます。これまでの日本は先進国の中でも珍しく、年金だけでも慎ましく生活することが可能な国でした。しかし、少子高齢化から社会保障費の増大が財政を圧迫しており、将来は現在と同レベルの社会保障給付を受けることができるのかは不透明です。 しかし、多くの先進国では年金だけではそもそも生活ができない設計となっています。そのために、公的年金、私的年金、資産運用、老後の所得などをコンボにして老後プランを立てます。