寝たきりの18歳長女の卒業後の居場所がない 「18歳の壁」問題を深刻化する複合的な理由
■18歳を機に根拠法が変わる 18歳以降の居場所問題はとても深刻で、まさに今、我が家もその危機に陥っています。現在のところ来春から長女が通う施設はまだひとつも確定していません。この問題は急務の課題であるはずがなかなか進展しない背景には、実は複合的な理由があるようです。 2012年に放課後等デイサービス(小学校から高校までの障害のある子どもが放課後に利用できる施設)が事業化されて以降、児童福祉法を根拠法としてスタッフの専門性や設備や安全対策が厳格化され、障害のある子どもを安心して預けることができる施設が増えました。日本全体で見ても共働き世帯が急激に増加した頃であり、障害のある子どもを育てていても働きやすくなる環境が整い始めました。 一方で、医療の進歩により我が家の長女のような人工呼吸器など高度医療が必要な子どもが成人するケースが珍しくなくなったにもかかわらず、障害者総合支援法を根拠法とする生活介護施設の増加はとても緩やかです。当然ながら、現在、放課後等デイサービスに通っている子どもたちはいずれ18歳を迎えますが、生活介護施設の数が足りず、卒業後の居場所が極端に少なくなってしまうのです。 ■送迎者や人手不足で… そしてもうひとつ、大きな課題となっているのが通所時間です。たとえば我が家の長女は現在、平日は朝7時50分頃にスクールバスに乗って特別支援学校へ登校し、放課後等デイサービスを経由して午後5時30分頃に帰宅します。このため、私は仕事をすることができていますが、生活介護施設は朝10時頃から午後3~4時頃までのところが多い上に、送迎車や人手不足により保護者が送迎をすることになるケースも増えています。そうなると、たとえ通えたとしても片道40分ほどかかる施設まで1 日2往復することになり、仕事を続けることは困難ですし、長期スパンで見た時には毎日長時間運転する不安も出てきます。特に、医療的ケアの必要な子どもは夜間も含めて常時見守りが必要で、親は慢性的に睡眠不足を抱えていますので、毎日3時間近く車を運転することに不安を感じます。