共和ヴァンス氏と民主ウォルズ氏が「10.1ガチンコ対決」、アメリカ大統領選は副大統領候補で決まるかもしれない
共和党のJ.D.ヴァンス氏が「孤高のインテリ」だとしたら、民主党のティム・ウォルズ氏は誰にでも愛される「ご近所のおっさん」である。 ■「ご近所のおっさん」の絶妙な「わきまえ感」とは? ウォルズ氏もまた、民主党の副大統領候補としては「穴馬」であった。本命と目されていたのはジョシュ・シャピロ知事(今年の選挙の天王山たるペンシルベニア州! )であった。ほかにも元宇宙飛行士の経歴を持つマーク・ケリー上院議員(アリゾナ州)、頭脳明晰で能弁なピート・ブティジェッジ運輸長官など、有力な選択肢があった。ところがハリス氏が選んだのは、見た目は冴えないウォルズ知事(ミネソタ州)であった。
この二人、カマラとティムが並んだ姿が味わい深い。実は同じ1964年生まれの「還暦」コンビ。ただし牡羊座と天秤座生まれで、ウォルズ氏が半年だけ年上となる。しかるにどう見ても、ウォルズ氏がハリス氏の保護者か何かに見えてしまう。 この「見た目年齢の高さ」がウォルズ氏の武器である。いかにも「アメリカのお父さん」に見えるのと、何よりこの人は「次のポスト」を意識していない。「これが最後のご奉公」と心得ている点に安心感がある。副大統領は難しいポストであって、ここに就くとかならず「その上の地位」(ひとつしかない! )を目指したくなる。だから歴代の正副大統領はビミョーな関係になってしまう。ハリス氏はもちろん、そのことをよく知っている。
ウォルズ氏は、今のアメリカではめずらしい「叩き上げタイプ」である。ネブラスカ州の生まれで、地元の州立大学を出て高校教師になった。陸軍州兵として長く務めているが、退職時の肩書が「曹長」だったというから、組織内で出世を遂げたわけでもない。念のために申し添えると、勲章はたくさんもらっているので真面目な兵士だったようだ。 妻の実家であるミネソタ州に移り住み、そこでも高校教師を務める。そこで高校のアメフトチームのコーチになったところ、チームは同校初の州大会出場を果たし、地元の人気者になっていく。そして、地域のボランティアから政治の世界へという古風なコースを歩んでいく。