「仕方ないけど…」 熊本で全国交通系IC廃止、初日に戸惑いの声
熊本県のバス・電鉄5社が16日、「Suica(スイカ)」など全国交通系ICカード(全国IC)による運賃決済を取りやめた。全国ICから離脱する初の事例で、慣れ親しんだ乗客からは戸惑いの声も聞かれた。 【写真で見る】「全国IC取り扱い停止のお知らせ」 5社は、九州産交バス▽産交バス▽熊本電気鉄道▽熊本バス▽熊本都市バス。2016年に全国ICを導入したが、機器更新の負担が重いとして廃止を決めた。代わりに機器がより安価なクレジットカードなどのタッチ決済を25年3月に導入するが、それまでは現金か地域限定の「くまモンのICカード」のみでの決済となる。 熊本市の桜町バスターミナルでは各所に廃止の案内が貼り出されていた。同市東区の男性会社員(55)は「仕事の移動で(全国ICが使える)JRとの乗り継ぎが多い。くまモンのカードを新しく作りはしたが、毎回2枚を使い分けるのは面倒。更新費が高いのは分かるが……」と漏らした。旅行帰りで空港リムジンの列に並んだ東京都八王子市の女性(67)は事前に廃止を知らず急きょ現金での支払いに。「(全国ICに)めいっぱいチャージして来ていたけど、地域の事情なら仕方ないですね」と話した。 JR熊本駅前のバス乗り場で待っていた熊本県宇城市の40代の男性会社員は「ちょっと不便ですね。地元でしか使えないくまモンカードを作るメリットも微妙だし当面は現金払いを考えている。少し昔に戻る感じです」と苦笑いした。 5社の共同経営推進室によると、23年度の乗客のうち24%の565万人が全国ICを使っていた。同室は「廃止は苦渋の選択」と理解を求めている。【中村敦茂】