北欧の教育「フォルケホイスコーレ」が話題。人と社会、自然とのつながりを取り戻す大人の学び舎「School for Life Compath」 北海道東川町
伐採した木の樹齢よりも長く使い続けられる家具をつくっている。塗料もすべて自然素材。Compathでは工場見学をプログラムとして組むことがあり、こだわりを貫く姿勢に感銘を受ける参加者も多いという。
東川町に移住し、模索しながらCompathがスタート
2020年4月、二人は活動を本格化させるために株式会社Compathを設立。準備段階として教育について考えを深めるために、安井さんは島根で高校生の国内留学推進を、遠又さんは東京で大学生のキャリア教育を仕事としていたが、ともに退職し移住を決意。7月から東川に拠点を移し、9月からプログラムを開始した。 「最初のプログラムは7日間で、毎日何かしらのワークショップを行うものでした」(安井さん)
安井さんは参加者一人一人に声をかけ、語り合う。
コースをウェブで発表すると、日本で会社に属していると長い休みを取るのはなかなか難しいという意見が多かったという。 「半分の日程だけ参加してよいか?」などの問い合わせがあり、こうした声に応える形で、日中の多くの時間を「余白」とするプログラムを組み立てた。リモートワークをしてもいいし、まちを散策してもいいし、本を読んでもいい自由な時間となった。 「参加者のアンケートによると、一番印象に残ったことは、こちらが用意したプログラムではなく、参加者同士で対話をしたことや、まちに繰り出してつながりが生まれたことなど、その人だけの体験がほとんどでした。『余白』というと、立ち止まって何も起こらないというイメージを持たれるかもしれませんが、こうやって何もない時間があると何かが起こり始めるんです」(安井さん)
この4年の間にプログラムは増えていき、1週間のショートコースとともに、2~3泊のトライアルコースや4~10週間のロングコースも開催するようになった。また立ち上げのころは、東川の中心地にある複合施設・せんとぴゅあのセミナールームや宿泊施設を利用していたが、町が管理していた遊休施設の利活用の公募があり、プランが採択され、2024年3月に校舎も完成。現在、Compathの卒業生は約300名だ 。
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