北欧の教育「フォルケホイスコーレ」が話題。人と社会、自然とのつながりを取り戻す大人の学び舎「School for Life Compath」 北海道東川町
日本にもフォルケホイスコーレのような場所が欲しい
こうした学びの場を日本でもつくってみたい。そんな思いを持ったのが、大学時代の同級生だった安井早紀さんと遠又香さんだ。社会人になってからは、年に1回ほど会ってお互いに刺激し合う関係だったが、たまたま休暇の時期が重なり、デンマークを旅することに。どちらも教育や社会活動に興味があり、2つのフォルケホイスコーレと、1つの「森のようちえん」 (自然体験活動を基軸とした幼少期教育の場)を視察した。 実際に学びの場を体験しデンマークの人々と対話を重ねる中で、「日本にも、こういう場が欲しい」と二人の意見が一致。2017年のこの旅が転機となって、学び舎の構想がスタートした。
大人の学び舎づくりを模索する中で、遠又さんの夫のつながりから東川を訪問することとなった。そこで、20年前にデンマークを訪ねたことのある平飼い養鶏と農業を営む生産者の方と出会い、学びの場づくりを「東川町でチャレンジしてみたら?」と背中を押された。 「このとき東川のみなさんとはまったくつながりがありませんでしたが、その生産者の方が北の住まい設計社を立ち上げた渡邊夫妻やカメラマンの方などを紹介してくれました」(安井さん) 2019年に2泊3日のトライアルツアーが実現。プログラム1日目は、北の住まい設計社などを訪ね、森を散歩するなどして五感を使って世界を感じる「日常から離れ、自分の感受性に気づく」がテーマ。2日目は産みたての卵で朝ごはんづくり、その後写真のワークショップ「手を動かしながら、感性を紡いでゆく」。3日目は滞在で出会った東川で暮らす人たちの想いや哲学(生き方)に触れながら気づいたことを振り返る「旅で出逢ったヒントから自分の物語を編む」。 現在実施しているプログラムをギュッと凝縮したような内容だった。
1985年に渡邊恭延さん・雅美さん夫妻が廃校を譲り受け、自分たちの手で修理をして家具の工房として蘇らせた。夫妻はフィンランドに滞在したことがあり、そこで自然と共生する暮らしに感銘を受け、北の住まい設計社をつくり、北欧の文化をまちの人々に伝える役割も担ってきた。
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