8月は打撃不振だが...“最大のライバル”マーテイの故障離脱で大谷がMVP受賞へ一歩前進、前人未到3度目の満票受賞も<SLUGGER>
ナ・リーグMVPレースは、本命である大谷翔平(ドジャース)が8月の大不振にかかわらずかなり優位な状況になった。唯一の対抗馬であるケテル・マーテイ(ダイヤモンドバックス)が負傷したからだ。 【動画】大谷翔平、前日に続く39号で2年連続3度目の40ホーマーへ王手! 後半戦に入って24試合で11本塁打、OPS1.173と絶好調で、総合勝利貢献度WARでも大谷を上回っていたマーテイだが、8月10日のフィリーズ戦で二塁守備時に相手走者のスライディングを受けて左足首を打撲。18日のレイズ戦でに代打出場した際、故障個所が悪化したようで故障者リスト入りし、「いつ戻ってこれるか分からない」(トレイ・ロブロ監督)状態に陥った。 この負傷とほぼ同じタイミングで、現役時代に通算213勝154セーブを挙げ、殿堂入りも果たしているジョン・スモルツがナ・リーグMVP投票はマーテイが有利だと持論を述べていた。大の大谷ファンとして知られるベン・バーランダーのポッドキャスト番組で語ったのは「独力でチームをプレーオフ争いに導き、出場へ押し上げた選手がいるなら、以前から優秀なチームで期待された大谷はやや不利になるだろう」との見解だ。 マーテイは昨年のプレーオフで初打席から20試合連続安打の新記録を樹立し、リーグ優勝決定シリーズでMVPに輝いた実力者。今季も自身2度目のシーズン30本塁打を達成した。スモルツが指摘していたのはチーム内での傑出度だ。 ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンと複数のMVP経験者が名を連ねるドジャースとは違い、今季のダイヤモンドバックスの野手陣はまさにマーテイ一人に依存している状態と言っても過言ではない。昨季、25本塁打&50盗塁を達成して新人王に輝いたコービン・キャロルが不振に陥る中で打線を牽引し、守備でも二塁という要所で貢献していた。そうなると、WARの数字は互角でも、チームにとってより欠かすことのできないマーテイこそがMVPにふさわしいという考え方も成り立つ。 この点が、大谷のMVP獲得を阻む最大の障壁となりそうなはずだった。 ■状況的に大谷は今回も満票MVPを狙える また、スモルツは「攻守両面で試合にインパクトを与える野手がいれば、(MVP投票で)有利になるはず」とも語っている。この言葉に当てはまる選手がまさにマーテイで、二塁手としてDRS10、OAA7を記録するなど守備面での価値も大きい。対して大谷は周知のようにDHであるため、守備では貢献できない。また、これまでDHのMVP受賞は皆無。依然として「守備に就かない選手はMVPにふさわしくない」と考える識者もいる。 そんな中でマーテイの故障離脱。最後までハイレベルなMVP争いを演じてほしかっただけに残念だが、これによって大谷の受賞の可能性が一段と高まったことは事実だろう。それどころか、強力ライバルの不在により、すでに前人未踏のMVP満票受賞2回は、さらにその数を増やす可能性も十分ありそうだ。 文●藤原彬 著者プロフィール ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
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