使用済み乾電池を肥料に、パナソニックが新技術
パナソニック エナジー(以下、パナソニック)は、東洋製罐の連結子会社であるTOMATECと共同で、使用済み乾電池を肥料原料にリサイクルする新技術を開発した。乾電池から分離した亜鉛やマンガンを含む混合粉末を微量要素肥料の原料として活用するもので、2024年度中に同肥料の販売を開始する。 【画像】リサイクルのフロー 微量要素肥料とは、植物の成長に必要な亜鉛(Zn)やマンガン(Mn)、鉄(Fe)などの微量な栄養素を含む肥料を指す。これらの要素は土壌に不足しがちな場合が多く、作物の成長促進や収量向上、土壌の健康維持に重要な役割を果たす。 今回開発したプロセスでは、まずパナソニック製の使用済み乾電池から亜鉛やマンガンを含む混合粉末を分離する。次に、TOMATECが独自のガラスフリット化技術を活用して、この混合粉末を熔成微量要素肥料に加工する。熔成とは、乾電池に含まれる亜鉛やマンガンを溶融してガラス化するプロセスで、これにより作物が吸収しやすい状態に変化させる。 農業分野における乾電池のリサイクルは、パナソニックにとって初の取り組みとなる。また、TOMATECにとっても電池由来の原料を使用した肥料の製造・販売は初の試みとなる。 パナソニックは、使用済み乾電池の効率的な回収方法や再資源化プロセスの研究をさらに進める方針だ。また、パートナー企業と協力して乾電池を含む一次電池の資源循環モデルを構築し、環境に優しい社会の実現を目指すとしている。