「何人殺したか覚えていない」…獄中死の“筧死刑囚”が記者に残していた“怖すぎる肉声” 「死刑になるのは当然やろ」
灰になったら……
拘置所では毎日一体何を考えて過ごしているのか。「お金」のために何人もの男性を殺めた結果、死刑になることへ思いを巡らせることはあるのだろうか。 「それはね、一人になったら考えてしまうことはありますよ。でも考えたらご飯食べられへんから、考えんようにしています。弁護士の先生にも、ちゃんとご飯食べなあかんって言われるし、出されたもんはそれは食べなあかんから、生活は生活やから、毎日生活するために、考えんようにしてる。私も人間やから。それはそうやろ。怖いと思うことはありますよ。野暮なこと聞かんといて下さい」 面会中、身振り手振りを動かし、時折笑いながら、自分の伝えたいことを表すことの多かった千佐子死刑囚だが、この時ばかりは笑みは消え、ジェスチャーを使うこともなかった。 死刑が確定すると、面会は原則親族や弁護人に限定される他、手紙のやり取りも厳しく制限される。 面会時点ではまだ判決訂正の申し立ての棄却が公表されていなかったため、最後にまた取材で面会に来てもいいかと問うと、千佐子死刑囚は明るい笑顔を見せ、こう言った。 「灰になったら、会いに来て下さい」
*** 死刑が確定して以後、筧死刑囚は大阪拘置所で執行を待ちながら、再審も請求し、審理が続いていた。26日に病院に搬送され、死亡が確認されたという。 死刑も当然の、極悪非道の犯行内容だったが、ついに彼女に執行の日が訪れることはなかった。 デイリー新潮編集部
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