祭りの舞台、コミュニティーの中心…宗教施設も壊滅、長い再建への道 能登半島地震の被災調査から考えた、行政の支援のあり方とは
過去の災害では、寺社を支援する理由を「コミュニティーの中心で、地域復興に不可欠」と挙げ、「公共性」を導き出した自治体が多い。 ▽宗教施設は「命を守る場所」 加えて稲場教授は、新たな視点として「命を守る場所として宗教施設は重要」と指摘する。稲場教授の調査では、石川県で約120の宗教施設が津波からの避難先や避難所などに指定されていた。能登半島地震でも、実際に高台にある寺社などに上がり、避難生活を送った住民がいた。 「寺社は観光資源としても活用されてきた。ほかの地域の人たちも宗教施設に対し、息の長い支援をしてほしい」 石川県神社庁の浅井吉胤(あさい・よしつぐ)主事は「小規模な神社にも、支援が届いてほしい」と語る。 能門さんが禰宜を務める重蔵神社は756年に建立。3月の如月祭や、「キリコ祭り」と呼ばれる8月の大祭など、年間を通じて多くの行事の舞台になってきた。能門さんは「避難先から人々が戻り、また祭りを楽しめるようになったら復興だと思う」と話す。
冒頭で紹介した徳善寺の佱元さんは「地震の前から過疎化が進み、将来を不安に思う寺は多い。それでも800年以上の歴史ある寺を続けたい」と力を込めた。