この大会だけしか見ていなかった。白井空良が悲願の世界選手権初タイトル「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京」男子決勝
【ベストトリック4本目】
ベストトリック合戦も後半戦となりここでベストスコアは残しておかないと表彰台に上がるのは難しくなる4本目。ここでもメイクされるベストトリックは90点台のみとそれだけ選手たちが勝つために攻めていたか分かる回だった。 まずここで攻めの一手を見せたのは3本目で見事なトリックを見せた堀米。ここで優勝圏内に上がるには97.01pt以上が必要な中、彼がチョイスしたのは「ノーリーフロントサイド270ノーリーノーズスライド to フロントサイド270アウト(通称:ユートルネード)」をハバセクションでメイク。今までも数々の大会で決めてきたこのトリックだが今回メイクしたセクションが一番大きいこともあり、決めた瞬間に会場は歓声に沸きもちろんこのトリックには決勝最高得点の95.77ptの評価がついた。
そんな堀米に触発されたのはラッセル。今大会を通して良いパフォーマンスを見せている彼は、「フェイキービックスピンバックサイドボードスライド to フェイキーアウト」をメイク。この独創性溢れる高難度トリックにジャッジが付けたスコアは90.30ptで暫定4位まで浮上した。
そしてこの4本目の最後に高難度トリックを見せたのは、トップ3に多くビハインドを取りこのままでは終われないヒューストン。そんな彼がメイクしたのは「ノーリーヒールフリップフロントサイドノーズブラントスライド」で93.14ptという高得点をマーク。今まで出場するWSTの大会では勝ち続けてきただけにこの時点で表彰台を逃すという残念な結果となった。
【ベストトリック5本目】
4本目を終えた時点でのトップ3は白井、根附、堀米という日本人が独占する展開となり、3位と4位で7pt近くの差があることから、あとはこの最後の一本でこの上位3名の順番がどう入れ替わるかが注目となった。 優勝に返り咲くべく、まずトライしたのは暫定3位の堀米。彼が最後にトライしたのは「ノーリーキックフリップフロントサイドテールスライド」。今回は惜しくもメイクとならず3位という結果となったがこの成績によって世界ランキングを7位まで押し上げてフェーズ2に望みを繋げる形となった。東京オリンピック金メダリストである彼が次のパリオリンピックに向けてどんな活躍を来年見せてくれるのかも注目だ。 そして次は暫定2位の根附のラストトライ。最後の最後で逆転を目指し「ヒールフリップバックサイドテールスライドビックスピンアウト」にトライする失敗し、点数伸ばせずに2位で大会を終えることとなった。今シーズンはSLSでの決勝進出を始め大会を経ることに調子を上げてきた彼。良い流れで迎えるフェーズ2での活躍にも期待だ。 根附がラストトリックを失敗した時点で、優勝が決定しラストトリックをウィニングランとした 白井空良。最後に自身の名前がつく「ソラグラインド」に「180アウト」を加えた「アーリーウープフロントサイド180オーリー to フェイキー5-0グラインドフロントサイド180アウト」を完璧にメイクし完全優勝を果たした。今シーズンはWSTシリーズで安定した結果を残して日本人選手別で世界ランキングトップを保持し続けた彼。今年の夏に怪我を経験したこともあるがこの世界選手権に並々ならぬ思いを持っていたことから、今回の優勝への思いはひとしおだろう。なお世界選手権での優勝は今回が初めてということだが、その大会を自身もパーフェクトランと言える見事なパフォーマンスで叶えることができたそのメンタルやスキルの高さを含め、ここまでいかに彼が目に見えないところで努力してきたがうかがえる結果となった。