36年目シーズンを始動した53歳の三浦知良はなぜ映画「男はつらいよ」シリーズをキャンプ宿舎に持ち込んでいるのか?
オフの間にカズを除くフォワード陣が入れ替わった。19歳のホープ斉藤光毅がベルギー2部のロンメルへ旅立ち、23歳の一美和成は期限付き移籍を終えてガンバ大阪へ復帰。前出の瀬沼に加えて元日本代表の皆川佑介がベガルタ仙台へ新天地を求め、草野侑己はレノファ山口へ武者修行に出た。 新たに伊藤翔(鹿島アントラーズ)、ジャーメイン良(仙台)、187cmの高さをもつクレーベ(ジェフ千葉)、そしてJ1通算100ゴールの渡邉千真(ガンバ)と実力者が集結。中盤に小川慶治朗(ヴィッセル神戸)、最終ラインにはボランチもできる高橋秀人(サガン鳥栖)が加わった。 「沖縄でしっかりと整えてきた分、いまのコンディションのなかでも走れることは走れます。ただ、キレという部分ではまだまだですね。新しい選手も大勢入っているので、この和歌山キャンプでみんなと融合できるように、いい状態にもっていくためにいま、少しずつ身体を作っている感じです」 サーキットトレーニングを含めて、初日のすべてのメニューを消化。3年目の指揮を執る下平隆宏監督から「本当のプロフェッショナル」と称賛されたカズは、現状でぎりぎりまで追い込んではいないと明かした。さらに沖縄で取り入れた、新機軸のメニューがもたらす効果についてこう言及している。 「これから実戦的な、より試合に近い練習がどんどん増えてくると思うんですけど、そのときに上げ下げのある有酸素運動をやってきた効果が出るかもしれないですね。自分でも楽しみにしているし、これから先、シーズンが始まっても継続していけるものだと思っています」 今シーズンのJ1リーグは、川崎フロンターレと横浜F・マリノスが対峙する“金J”で幕を開ける。自身の誕生日の翌日となる27日に敵地・札幌ドームで行われる、北海道コンサドーレ札幌との開幕戦のメンバーに入るために。サッカーへのあふれる愛情と自身の状態をしっかりと見極める冷静な視線、そして「寅さん」を介したリラックスタイムを融合させながら、カズは心技体を練り上げていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)