バイデンの側近たちは「日鉄のUSスチール買収に安全保障リスクはない」と助言していた
米国のジョー・バイデン大統領は1月3日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を阻止する命令を出したと発表した。 【画像】バイデンの側近たちは「日鉄のUSスチール買収に安全保障リスクはない」と助言していた バイデンは声明で「鉄鋼産業とその労働者は我が国の屋台骨だ」と述べたうえで、国家安全保障上の懸念を理由に買収を禁じると説明した。 買収案をめぐっては、米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)が安全保障上のリスクを審査していたが、2024年12月23日の期限までに意見を一本化できず、最終判断を大統領に委ねていた。 バイデンの発表を受けて、USスチールのデビッド・ブリットCEOは「恥ずべきもので腐敗している」と厳しい口調で批判。日本製鉄も納得できないとして、米政府を提訴する構えだ。
「安全保障上のリスクはない」との声もあった
買収計画は約1年前に発表されたが、全米鉄鋼労働組合などが反対の声を上げ、大統領選の年であったことも相まって政治問題化した。共和党の候補だったドナルド・トランプ次期大統領は反対を表明し、バイデンもこれにならった。 しかし大統領選が終わったいま、バイデン政権の高官らは買収を認めるべきだと大統領に進言していたという。バイデンはそうした意見を無視して阻止に踏み切ったと、米紙「ワシントン・ポスト」は報じている。 政権内でおこなわれた協議に詳しい7人の関係者に同紙が取材したところ、この数ヵ月間、6人以上の高官が買収阻止に反対または懸念を表明していたという。そのなかには、アントニー・ブリンケン国務長官、ジャネット・イエレン財務長官、ラーム・エマニュエル駐日米国大使が含まれていた。
COURRiER Japon