【箱根駅伝】横溝三郎監督が亡くなり、喪章をつけて臨んだレースでシード権 東京国際大学「後ろからパワーをいただいた」
日本人エースを育成し、さらにパワーアップしたチームへ
従来の区間記録を18秒も更新したエティーリについて聞くと、「練習の状況やヴィンセントとの走りの違いを見ていると、65分30秒が現実的な目標でした」と、ほぼ想定通りだったという。彼の実力やポテンシャルからいくと64分台を出せる可能性もあったと中村監督代行。「淡々と力通りの走りをしたという感じで、特別なパワーは出なかったなと。そこを引き出してあげられなかったなとは思います」 ただ、エティーリはまだ2年生。あと2年ありますが……と話を向けると、今回の2区のレベルアップについて話が及んだ。「今回、留学生をしのぐ日本人選手もたくさんいましたし、リチャードについても10秒から15秒程度しか差をつけられていません。留学生のパワーを使うのであれば、2区ではなく他の区間で起用した方がより効果的なのではと思います」という。 そのためには、他大学のエースと渡り合える日本人エースの育成が必要になってくる。「それができた時に、さらにリチャード、それからアモス(・ベット)の2人のパワーが生きてくると思いますし、これからはそんなチームも目指していきたいと思います」。今回9区で好走した菅野は、「日本人エース」の役割を担える可能性のある選手の一人だと名前を挙げた。
たくさんの人に支えられてゴールできた
中村監督代行は今回が初めての運営管理車への乗車。中京大学出身の中村監督代行にとって、箱根駅伝は幼い頃から「テレビで見るイベント」の一つだった。「いちファンとして、特等席でレースを見られるのなんて最高だなとも思ったんですが、全然そんなに優しいものではなかったですね」と苦笑する。 特に復路のシード権争いが激しくなってからは、運営管理車が選手の真後ろにつけず、声掛けが難しいこともあった。そんな中でも今回、東京国際大の運営管理車のドライバーを担当した方は、15年連続で運転しているベテランで、とても協力的に動いてくれたと話す。 「乗車する役員さんも含め、『我々は一つのチームなので、一緒に頑張りましょう』といってスタートして、最後はグータッチで終われました。本当に不安ばかりの箱根駅伝だったんですが、選手の走りにも、周りの方々にも勇気づけられました」。故・横溝三郎監督の写真もともに運営管理車に乗っていた。「本当に、横溝さんからもお守りみたいな形で、後ろからパワーをいただけたと思います」。いろんな人たちの支えがあったからこそゴールを迎えられた、と中村監督代行は感謝の気持ちを口にした。 これで10月の出雲駅伝と、来年の箱根駅伝の出場権を得た。全日本大学駅伝は地区選考会を通過しなければならないが、「シード校としてしっかりと3大駅伝を走るぞと、そういう意気込みでまた新しい1年をスタートできますので。また大きく成長できるきっかけになったんじゃないかなと思います」 結果と自信を得て、東京国際大は新シーズンへと臨む。