「虎に翼」主人公が学んだ法学部のいま 「彼女が道を切り開いた」後輩たちに引き継がれた思い
現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」は、日本初の女性弁護士でのちに裁判官となった女性が主人公です。モデルとなったのは、明治大学法学部出身の三淵嘉子さんです。困難な時代に道なき道を切り開いてきた女性法曹の情熱は、現代にどのように受け継がれているのでしょうか。現在、同大学で学ぶ女子学生に、先駆者への思いや法学部での学びについて聞きました。 【写真】「この大学に行きたい」 大学生108人に聞いた「決め手」は?
日本の大学で最も歴史がある学部の一つが、法律を学ぶ法学部です。東京大学は1877(明治10)年の創設と同時に法学部を設置。その後、法整備が進むなかで法曹の育成が急務となり、1880(明治13)年から1885(明治18)年にかけて私立の法律学校が相次いで創設されました。主要な5校が「東京法学校社(法政大学の前身)」「専修学校(専修大学の前身)」「明治法律学校(明治大学の前身)」「東京専門学校(早稲田大学の前身)」「英吉利法律学校(中央大学の前身)」で、「五大法律学校」と総称されています。 明治法律学校は1903(明治36)年に明治大学と改称し、1929(昭和4)年に専門部の一部門として「女子部(法科・商科)」を開設しました。そして1931(昭和6)年には女子部の卒業生に対して、明治大学が設置する学部への入学を認めました。日本で初めて女性に法学教育の門戸が開かれ、日本初の女性弁護士が誕生します。そのうちの1人が「虎に翼」主人公のモデルとなった三淵嘉子さんで、日本初の女性判事、家庭裁判所長でもあります。 明治大学法学部法曹コース4年の土屋穂波さんは、「虎に翼」を見て三淵さんの存在を知ったそうです。 「私は弁護士を目指しているので、今まさに司法試験に合格することの難しさを実感しています。三淵さんたちの時代は、それだけではなく、女性の権利が制限され、さまざまな逆風があるなかで法曹の道を志し、実際に弁護士や裁判官になっています。強い意志が必要だったと思いますし、その思いを貫き、女性に道を開いてくれたおかげで、今の私はなりたい道に進めています。ドラマを見ながら尊敬や感謝の気持ちでいっぱいになります」 このドラマでは、「すべて国民は法の下に平等であって」という日本国憲法第14条が、ストーリーの核となっています。 「法律の歴史を勉強していると、男性の法律家が取り上げられることが多いのですが、今は当たり前となっている第14条が、かつて女性たちが平等を訴えたところから成り立ったのだと思うと、感動します」(土屋さん)