知らなかった“未支給”年金の存在…亡くなった両親の年金で損する人はどんな人?相続税が課税されるケースも【相続専門税理士が解説】
両親が亡くなると、年金の停止手続きをする必要があります。年金は「亡くなったその月」まで支給されますが、亡くなったその時点では「未支給の年金」が存在します。この未支給年金は遺族が手続きを行わない限り、受け取ることができません。つまり、受け取る資格を持っていたとしても、知らなければ損をしてしまうのです。相続専門税理士の岸田康雄氏が両親が亡くなった後に必要な年金に関する手続きをわかりやすく解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
公的年金の受給権者が逝去…必要な手続きと提出書類
年金受給者であるご両親が亡くなった場合、年金の支給が続いてしまう可能性があるため、「受給権者死亡届」を市区町村役場か年金事務所へ提出して、年金の支給を止める必要があります。 ただし、日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合は原則として届け出をする必要はありません。 受給権者死亡届は日本年金機構のWEBサイトからダウンロードすることができます。 ■受給者死亡届の扱いは国民年金と厚生年金で異なる 受給者死亡届の提出期限と提出場所は国民年金か厚生年金で異なります。 国民年金の場合、亡くなった日から14日以内にお住いの市区町村役場へ提出する必要があります。 厚生年金の場合、亡くなった日から10日以内にお住いの地域の年金事務所へ提出する必要があります。 また受給権者死亡届以外に以下の書類の提出が必要です。 ・亡くなった人の年金証書 ・亡くなった事実のわかる書類 (住民票の除票、戸籍抄本、死亡診断書のうちいずれか1つ)
亡くなった時点で発生する未支給の年金が存在
年金をもらっていた人が亡くなったあと、支給されていない年金が発生します。この未支給年金の計算方法の算出方法を見ていきましょう。 ■年金は亡くなった月の分まで受け取ることができる 公的年金は年6回後払いで支払われています。具体的には、偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)にその前月までの2ヵ月分の年金が支払われます。 たとえば、4月15日には2月と3月の2ヵ月分の年金が支払われます。 年金は日割り計算を行わず、亡くなった月の分まで受け取ることができます。そのため、亡くなった時点ではまだ受け取っていない年金が発生するのです。これを未支給年金といいます。 未支給年金の算出方法は亡くなったタイミングによって以下の3パターンにわけられます。 【奇数月に亡くなった場合】 年金支給月ではない奇数月に相続が発生した場合の算出方法は簡単です。 年金は亡くなった月の分まで支給されるので、亡くなった月と前の月の2ヵ月分の年金が翌月に支給されます。 仮に9月に亡くなった場合、10月15日に8月と9月の2ヵ月分の年金が支給されます。この分が相続発生日にまだ支払われていない未支給年金になります。 【偶数月の年金支給日前に亡くなった場合】 偶数月に亡くなった場合は奇数月に比べてややこしいので注意が必要です。 15日より前に相続が発生した場合、その月支給されるはずの2ヵ月分の年金はまだ受け取れていません。従って3ヵ月分が未支給年金になります 【偶数月の年金支給日後に亡くなった場合】 15日よりあとに相続が発生した場合、受け取れていない未支給年金は亡くなった月の分、1ヵ月分です。 未支給年金の計算方法は亡くなったタイミングによって上記の3パターンに分けられます。