シリア・アサド政権崩壊 “独裁政権”終焉で世界に影響は?大統領は“後ろ盾”のロシアに亡命 今後のパワーバランスは?世界に与える影響は?須賀川記者解説【news23】
シリア内戦をめぐっては、これまで30万人以上の民間人が死亡し、国外に非難した難民は約680万人にのぼっています。 アサド政権の崩壊を受け、アメリカのバイデン大統領は… バイデン大統領 「アサド政権は何十万人もの罪のないシリア人を拷問し、殺害した。今回の政権崩壊は正義がもたらした結果だ」 今後、シリアはどうなるのか。 日本国際問題研究所 松本太 プラットフォーム本部長 「新政府がどういった構成で結成されるのか、まだ未知数。当面、人道状況の改善という意味では時間がかかるんじゃないのかなという印象」 ■「安定が訪れる」トルコ国境には帰還急ぐシリア難民 小川彩佳キャスター: 内戦の最中には多くの難民が隣国トルコに逃れました。トルコ南部の国境から増尾記者に伝えてもらいます。多くの方がいますけれども、そちらに集まった難民の方からはどんな声が聞かれましたか。 増尾聡 記者: シリア最大の北部の都市アレッポから50キロほどのトルコ側の検問所にいます。我々はここで10時間ほど取材を続けていますが、今も多くの人の姿が見られます。 今朝は、まだ暗い時間からかなり多くの方が集っていて、だいぶその数減りましたが、それでも今もなお大きな荷物を持ち、この場所に到着する人たちが集まってきています。 こうしてここに集まっているのは、2011年のシリア内戦が始まって以降、トルコに逃れてきた難民の人たちです。この検問所を通ってシリア国内へと帰還しようとしています。今日はこれまでに600人が国境を越えたということです。 アサド政権の崩壊を受けて母国への帰還を決めた人たちからは、一様に「これでシリアに安定が訪れるんだ」という希望の声というのが多く聞かれました。 小川キャスター: 長く続いてきた内戦なので、その希望がかなえられてほしいと願うばかりですが、その思いの通りにいきそうでしょうか? 増尾 記者: 今後の状況というのは、決して楽観視することができないということが言えると思います。今回の反体制派勢力の電撃的な攻勢では、異なるいくつものグループが「打倒アサド政権」で一致することができましたが、それぞれをよく見てみますと、本質的には全く別の主義・主張に立っている勢力も多くあります。 今後新たな政権作りが進んでいきますが、この際に、例えば主導権争いとなれば、再び戦闘に陥るリスクをはらんだままです。どこまで歩み寄って安定的な政権を築くことができるのか。シリアの国民にとっての正念場というのは、むしろここからなんだというふうに思います。