シリア・アサド政権崩壊 “独裁政権”終焉で世界に影響は?大統領は“後ろ盾”のロシアに亡命 今後のパワーバランスは?世界に与える影響は?須賀川記者解説【news23】
須賀川 記者: まず、全く別の主義・主張に立っている勢力が、共通の敵であるアサド大統領がいなくなったことにより、バラバラになるのではないかというのが一つの懸念です。 もう一つの懸念は、今回反体制を率いたトップのシリア解放機構のジャウラニ指導者は「平和的な権力移譲」「アルカイダとの関係はない」と明言しています。ただ、こういった指導者が平和的な道筋を示したとしても、末端の戦闘員がそれについていくかどうかはわかりません。 アサド大統領に友達や家族を虐殺された人たちは大勢います。そして、アサド信派の市民ももちろんいます。例えば私刑、自分で復讐をしに行ってしまうなど、そういったことで治安が一気にガタついてしまうケースももちろんあり得るので、その治安をどこまで維持できるか。今後大きな課題になるのではないでしょうか。 ■アサド政権崩壊で“後ろ盾”ロシアは大ダメージか 小川キャスター: 星さんは7年前にアサド大統領にインタビューを行っていますが、そのときのことを振り返ってどんなことが思い起こされますか。 TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん: アサド大統領は二面性があると感じましたね。イギリスで眼科医をやっていたこともあり、開明的な部分ももちろんあります。一方で反体制派への対応、化学兵器の扱いなどを聞くと、本当に杓子定規でロシアの見解と全く同じなんです。やはり「ロシアの傀儡」という感じを強く受けました。 今回ロシアからすると、政治的にアサド大統領を支えていた。それが倒れたということで、政治的な威信の低下があります。軍事的には、ロシアはシリアに空軍基地と海軍基地の軍事基地を持っています。この二つの基地が使えなくなりそうで、ロシアの方の軍事戦略上も非常に大きなダメージです。そういう点では、プーチン大統領の威信低下に加速がかかるんじゃないかとみられてると思います。 小川キャスター: そういった意味でも、中東情勢の先行き不透明感が増していきますが、シリアに対して日本がどんな役割を果たせるのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん: シリアの中だけでは復興・復旧がなかなか難しいので、国際社会の支援は必要です。今週中にもG7が首脳同士で電話会談をする予定ですが、やはり兵を出す国や、日本のように経済支援ができるような国など、役割分担をしながら国際社会全体でシリアを支援していくということが非常に必要になってくると思いますね。 ==================== <プロフィール> 安野貴博さん 東大卒のAIエンジニア SF作家 都知事選でAI選挙を展開し5位 星浩さん TBSスペシャルコメンテーター 1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年
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