橋岡優輝、男子走り幅跳び6度目V 2度目五輪決定も不満「くそみたいな試合」/陸上
陸上・日本選手権第3日(29日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねて行われ、男子走り幅跳びは2021年東京五輪6位入賞の橋岡優輝(25)=富士通=が、7メートル95(追い風参考)で2年ぶり6度目の優勝を果たした。五輪の参加標準記録は突破済みで、日本陸連の選考規程を満たし、2大会連続の五輪代表に決まった。男子100メートル準決勝は桐生祥秀(28)=日本生命=が、10秒20(追い風0・1メートル)の組2着で、残り2枠を争う30日の決勝に進出した。 安堵と悔しさが入り交じる優勝だった。橋岡が、2回目に7メートル95を記録し、6度目の大会制覇。2大会連続の五輪代表に内定したが、その表情は曇っていた。 「とりあえず内定できてよかった、というだけです」 今季の初戦で五輪参加標準記録(8メートル27)を超える8メートル28をマーク。今大会優勝で代表内定の条件だった。気合を入れて出た1本目は、7メートル87。2本目で追い風に乗り7メートル95をマーク。その後は伸ばせず、最終6本目はファウルで終了した。 同種目では歴代2位となる6度目の優勝。1932年ロサンゼルス五輪の三段跳び金メダリスト、南部忠平に並ぶ快挙も「言葉が悪いですが、久々にくそみたいな試合をしてしまった」と肩を落とした。 メダル候補だった2021年東京五輪は、8メートル10で6位。銅メダルの選手とは11センチ差だった。そのわずかな差を埋めるため、22年の冬に拠点を米国に移した。男子100メートルで内定済みのサニブラウン(東レ)も所属するタンブルウィード・トラッククラブでコーチから指摘されたのは、助走のスピードだった。 「スプリンターになれ」。サニブラウンや、東京五輪男子100メートル覇者のヤコブス(イタリア)らと一緒にスピードを磨いた。だが、その弊害で助走と跳躍がかみ合わなかった。けがも重なり、23年は結果を残せなかったが、まずは五輪への挑戦権を得た。 1936年ベルリン五輪で銅メダルを獲得した田島直人以来のメダルを狙う。橋岡は、「やり切れて、良かったと思えるように。1カ月あればなんとかなる」。人生最高の夏にする。(高橋朝香)