今冬のウクライナ戦線、鍵を握るのは「架橋」 ロ軍、北東部や南部で渡河うかがう
両軍とも架橋部隊はひどく損耗しているもよう
両軍の架橋部隊はいずれも装備に損失を出しているが、それ以上に大きな問題なのは人員の損失だ。架橋部隊は、橋の迅速な設置や渡河強襲の支援のために相当な訓練を必要とする。2022年5月、ロシア軍がウクライナ東部ルハンシク州のシベルシキー・ドネツ川を浮橋で渡ろうとして、1個大隊戦術群が壊滅状態に陥る結果になったように、訓練が不十分だと失敗につながるおそれがある。 両軍の架橋部隊はこれまでに大きな損害を被っているので、現在は訓練が不十分な工兵が配置されている可能性が高い。ただ、ウクライナ側は強みをもつドローンや電子戦技術によってロシア側による渡河の努力を妨害できるため、防御面ではやや有利と言える。 ロシア・ウクライナ戦争での渡河をめぐる苦闘は、伝統的な戦術と先端技術が交錯する現代戦の課題を浮き彫りにしている。両軍とも、引き続き高価値の目標となっている橋の設置・保持で大きな障害に直面している。 ドローンや電子戦でのウクライナ軍の優位性によって、ロシア軍の努力は妨害されるかもしれないが、川をめぐる攻防ではどちらの側も決定的に有利な立場には立てていない。ウクライナの川は現在進行中のこの戦争で障壁でもあれば助力にもなっており、架橋の成否は作戦のペース、ひいては戦争の趨勢も左右することになるだろう。
Vikram Mittal