日本が「どうしようもなく小さく」なってしまう前に、元ファンドマネジャー父が娘に伝えている「大切なこと」
これから縮小していく日本社会では、ラベリングはより「ゆるやか」になっていく
アキも知っての通り、僕は田舎の商店街で生まれました。おじいさんがのれん分けで小売店を開業し、父親が2代目、昭和のバブル期に店舗改装の借金を抱え、その返済に苦労する姿を見てきました。 商人の跡取り息子として昭和の価値観で育てられた長男だから、その呪縛から自分を解放するのに苦労したのも事実です。東京の大学に出てきたのも、このままではあんなふうになってしまう、という危機感もあってのことでした。ビジネスとは対極の文学部に進んだのもその反動だったのかもしれません。結局はお金の世界に行ったんだけどね。 ポリコレとかコンプラとか行き過ぎた堅苦しさが目立つ令和ですが、これは生みの苦しみで、アキたちが大人として生きていく未来は、性差とか家族とか職業とかいう軛から個人が解放されていくことが決まっています。 経済予測の世界で最も精度が高いのが人口動態で、政策の変更が経済に与える結果が出るのに最低20年かかります。日本は既に人口が減り始めていて、性差による役割分担が贅沢になってきました。家賃が高い東京では一馬力では生活が苦しくなって、二馬力が普通です。家の縛りが強い地方でも時間の問題でしょう。 ヒトが余っていて、更に増える時代には、性差などの分かりやすい、かつ、ざっくりとした分類で役割を決めてきました。でも、これからはヒトが不足して更に減っていく時代、役割を決めるのは適性です。自分の適性を見つけるのが大学生活、って考えるのがいいと思うよ。 ひと昔前には3高、なんて言葉があって、結婚相手に求めるのは「高学歴、高収入、高身長」なんて言ってましたが、今だと大炎上だよね、もし心の中では思っていても口には出さないように。 マッチングアプリでもプロフに載せるのは学歴、収入、写真、これは昔の結婚相談所から全く変わりません。でも、そんな単純な属性で自分や他人を定義しないでね。人間はラベリングが好きな生き物ですが、なるべく気にしないで生きてください。アキは一人の人間であって、属性の束でできているのではないのですから。