「スタバでMacドヤァ」はもはや過去のイメージに過ぎない…。こんなにもスタバが愛される“本質的な理由”とは?
もちろん、喫煙者もスタバ店内に入ろうと思えば入ることはできる。しかし、もし近くに喫煙可能なカフェがあればそちらに流れることは十分に考えられるだろう。その意味でも、この「完全禁煙」は、スタバの「静かな選択」を本当の意味で「ひっそりと」成し遂げているのだ。 加えて昨今では、喫煙所が減少し続けている。「スタバで休憩しつつ、近くにある喫煙所で一服し、また戻って来る」という行為のハードルも上がっているだろう。
こうした「店舗環境」に働きかける取り組みや、外部環境の変化の影響もあって、スタバはそのブランディングを強く保ち続けているのだ。 ■とはいえ、スタバもブランディングには苦慮している ただ、こうしたブランディングは、すべてうまくいっているわけではない。例えば、最近話題になった「紙ストロー」。 スタバでは、2020年より環境への配慮を考え、プラスチックストローを紙ストローに変更した。環境への意識の高さが表れていて、まさにスタバのイメージ通り、といったところだ。
ちなみに、環境配慮への意識が高い層と、所得の高さは比例している。ここでも「所得」の問題は顔を出す。 ■「コーヒーの味が変わる」と不評だった しかし、この評判が非常に悪かった。 飲んでいるとすぐにフニャフニャになる、コーヒーの味が変わる(シュルツが悲しむ)等々、完全に消費者の不評を買ってしまったわけだ。 結果、2025年からは、環境に良いプラスチックストローであるバイオマス素材ストローに変更することになったわけだ。消費者からはすでに多くの歓迎の声が聞こえている。
紙ストローは、スタバのブランディングと客層の選択をうまく融合させた取り組みのようにも思えたが、やはり消費者の受け止め方をすべてコントロールすることは難しい。 まさに、ブランディングの難しさを考えさせられる例だが、時に失敗をしながらも、スタバは少しずつ、イメージを変え続けている。 しかし、本当に意識が高い人は今やコワーキングスペースなどに足を運んでいる令和においてもなお、「スタバ=意識が高い」という見られ方が根強く残っていることこそが、スタバのマーケティングの強さを証明しているのだ。
谷頭 和希 :都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家