「スタバでMacドヤァ」はもはや過去のイメージに過ぎない…。こんなにもスタバが愛される“本質的な理由”とは?
ちなみに、メニューによる「若い層への訴求」と、価格の維持は別の方向を向いているように思えるかもしれないが、若い層が「それでもスタバでフラペチーノを買いたい(そしてSNSにアップしたい)」と思わせるという意味で、逆にスタバのブランディングを向上させているともいえるのだ。 ■「完全禁煙」が作り出す「顧客の選択」 こうした、価格やメニューといった「環境」的な部分で「静かなる客層の選択」を行っているのがスタバで、その戦略が(特に日本では)うまく進んでいることが、いまだに多くの人が「スタバとMac」の結び付きをイメージとして持っていることに表れている。
「スタバってこうだよね」という確固たるイメージがあり続けているのだ。 一方で、SNSを見たり、知人に話を聞いたりしていると、「完全禁煙だからスタバに行くんですよね」なんて声も多い。 確かに、私自身もタバコは全く吸わないが、完全分煙を謳っている場所でも、席によってはタバコの煙が降りかかってくる場合があるから、スタバはそうした非喫煙者にとって単に「実用的」だから利用されている、という側面もありそうだ。
しかし、実はこの「完全禁煙」もまた、スタバの客層を環境的に「静かに選択」している。 そもそも、日本のコーヒーチェーンで完全禁煙が採用されるのは異例のことだった。というのも、スタバが進出した1990年代中盤、日本での喫煙率は男性が58%と高く、特に他の店では喫煙できることが当たり前だったこともあって、そのハードルは高かったからだ。 しかし、スタバの実質的な創業者であるハワード・シュルツが「コーヒーの香り」にこだわり、その香りを消すタバコを嫌ったことがあって、異例とも言える完全禁煙が決定された。
そしてこの時の決断が、スタバの「客層の選択」に貢献することになった。 というのも、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によれば、喫煙率と所得の低さには相関関係があることがわかっているからだ。これにはさまざまな理由が考えられるが、ここではその議論を深追いはしない。しかし、いずれにしても、スタバの店内が「完全禁煙」であることからは、そこに集まる人の所得が比較的高い、という推測が成り立つ。スタバが掲げる「安売りしない」的な方向性とマッチしているわけだ。