「スタバでMacドヤァ」はもはや過去のイメージに過ぎない…。こんなにもスタバが愛される“本質的な理由”とは?
デフレが終わり、あらゆるものが高くなっていく東京。企業は訪日客に目を向け、金のない日本人は“静かに排除”されつつある。この狂った街を、我々はどう生き抜けばいいのか? 新著『ニセコ化するニッポン』が話題を集める、“今一番、東京に詳しい”気鋭の都市ジャーナリストによる短期集中連載。 【画像で見る】来年には2000店舗を達成しそうな、スタバの店舗数推移 筆者は都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家としてスターバックスに関する記事を多く執筆してきた。その際、SNSなどのコメントで目につくのが「スタバでMacを使ってドヤァ」とする人を皮肉る声だ。
これは、スタバの店内でマックのPCを開き、長時間ドヤ顔で作業する人を揶揄した言葉である。 これを聞くたびに興味深いと思うのは、こんな光景はもはや「過去のイメージ」に過ぎないのに、人々の中で深く根付いているんだなあ、ということ。 スタバに行く人ならわかると思うが、そこにいる人がマックばかりを使っているかといえばそうではない。それに、日本全国にスタバが誕生している現在、スタバにいるマックユーザーだって、わざわざそれを「ドヤる」感覚を持ってないだろう。
にもかかわらず、この「スタバ=Mac」は根強いイメージで人々に浸透している。しかし実は、この強いイメージにこそ、スタバが行ってきたブランディング戦略が隠されていると思うのだ。今回は、こんな「スタバでMacドヤァ、イメージ強すぎ」問題から、スタバのブランディング戦略の肝を学んでみよう。 ■「かっこいい」から始まった日本のスタバ スタバでドヤる人は、かつては確かにいたかもしれない。いや、あえて断言すると、“相当数いた”だろう。
日本にスタバがやってきたのは、1996年。銀座に1号店が誕生している。銀座は、外国のハイブランドがその1号店を構えることが多く、アップルストアの1号店も銀座に誕生している。 銀座には昔から「外国の一流品」がやってくる街、としてのイメージがあったが、スタバの始まりは、そんな「外国への憧れ」のようなところから始まったのだ。 ちなみに、スターバックス コーヒー ジャパンの創業者に深く関わった『サザビー』創業者の鈴木陸三はスタバについて「かっこいい」とだけ表現したという。その部下だった梅本龍夫は「「スターバックスの『かっこよさ』はビジネスになる」ということを証明するのが、「陸三さんの『最初のフォロワー』を自覚した僕の『最初の仕事』です」と回想している。