「スタバでMacドヤァ」はもはや過去のイメージに過ぎない…。こんなにもスタバが愛される“本質的な理由”とは?
いわば、日本でのスタバの始まりは「かっこいい」をビジネスにするところから始まったのであり、その意味で初期スタバはまさに「ドヤれる」場所としてあったのだろう。 しかし、先ほども書いた通り、現在ではそんなスタバの数も国内2000店舗の大台に乗ろうとしている。今やどこの地方都市にも進出しているし、イオン等のショッピングセンターにもたくさんある。 馴染み深い存在すぎて、「ドヤる」とは無縁の存在にも思えるし、実際、カフェで仕事する人にとっては、色々あるリモートワークの場所の選択肢のひとつに過ぎないだろう。
では、そんな中でどのように、スタバはそのイメージを保ち続けているのか。 ■「メニュー」と「価格」で顧客を選ぶ それが、スタバが「店舗環境」に働きかけて、そこに来る顧客を「選択」していることにあると思う。 例えば、その1つがメニューである。 これは、日本に限らずアメリカのスタバでも同様なのだが、そもそも「本格的なコーヒーショップ」を目指して作られたスタバにおいて「フラペチーノ」が提供されたのは、若い女性の客層をターゲッティングするためのことだった。
実はフラペチーノ導入以前からスタバでは低脂肪乳の導入などが行われており、女性向け商品の開発を進めていた。 日本でもこうしたフラペチーノの導入によって、スタバには若い女性が押し寄せるようになったが、それによって、それまでの喫茶店が主たる客層にしていた層からの変化が起こってくる。 また、もう1つの観点として、「価格帯」の設定もスタバにおける「選択」を作り出している。この点に関して、社会学者のブライアン・サイモンがアメリカのスタバを語った『お望みなのは、コーヒーですか?』でこう書いている。
スターバックスがターゲットにしたのはビジネスピープル、旅行好きの人々、本を買うのが好きな『まともな稼ぎのある人々』であった。(p.35) 「まともな稼ぎがある人々」というのが面白い。今風にいえば「客層がいい」「治安がいい」ということになるかもしれないが、実際スタバは安易な値下げ戦略を行わないことでもお馴染みだ(この点、本国アメリカのスタバがセットメニューを開始して値下げ戦略に手を出すものの、結局芳しくない結果になったところを見ると、この「値下げない」戦略の有効性が逆に証明されたともいえるかもしれない)。