最低賃金の上げ幅、過去最大 物価高など反映 広島1020円と初の千円超え
2024年度の最低賃金を決める中国地方5県の地方最低賃金審議会の答申が出そろった。物価高などを反映し、時給で50~58円の引き上げを提示した。引き上げ額は5県とも現行方式となった02年度以降で最大。広島は1020円と初めて千円を超えた。山口、島根、鳥取の3県は、国の審議会が示した引き上げの目安額(全国一律で50円増)を上回った。 【一覧表】広島県などの2024年度最低賃金の答申 最低賃金は毎年度、国が示した目安額を参考に地方審議会が地域の改定額を決め、各労働局長に答申している。答申は広島1020円(50円増)山口979円(51円増)岡山982円(50円増)島根962円(58円増)鳥取957円(57円増)。いずれも国の審議会が示した全国平均の目安(1054円)には届かなかった。 答申は、労働者の生活を圧迫する物価高に加え、都市部との賃金格差を考慮したとみられる。格差が広がれば、人材確保の面で地方の企業が不利になるためだ。原材料費などの上昇分を商品やサービスの価格に十分反映できていない中小企業にとっては、人件費の負担が重くなる。 連合広島は「千円は超えたが、物価高などを考えると決して十分な額ではない」と指摘。「地域で安心して暮らせる賃金水準を目指し、最低でも全国平均の目安を企業に求めていく」としている。 最低賃金の適用は最短で広島、山口が10月1日、岡山が同2日、鳥取が同5日、島根が同12日となる。
中国新聞社