「このタイヤ凄えわ!」横浜ゴムの最先端タイヤ開発とサステナブル革命に衝撃を受ける
◆日本で実績を積み重ねて海外へとチャレンジする
海外フォーミュラでは1982年から欧州F3選手権向けなどにタイヤを供給。翌1983年から2015年までの33年間に渡りマカオグランプリへのタイヤ供給も行っていたことはあまりに有名。グランプリという名称はその国(地域)で行われる最高カテゴリーのレースに使われる言葉で、マカオではF3レースが最高カテゴリーに当たる。1983年のマカオグランプリ優勝ドライバーはアイルトン・セナで、84年からはF1にステップアップしている。
勉強会ではMST(モータースポーツタイヤ)開発部の斉藤英司氏が解説してくれた。横浜ゴムがモータースポーツ活動を行う理由は大きく3つ。1つは技術開発、もうひとつはブランディング、そして人材開発だという。レースも競争だが、開発も競争で、そうしているなかではものすごいスピードで人材育成が進むという。
一般タイヤはまず安全であって、快適で経済的であるものを開発して世に送り出している。一方のレーシングタイヤは、とくにクローズドサーキットなどでは、限定された条件下で速いもの。限界時の操縦性と高い摩擦力を優先した製品となる。
◆タイヤの仕組みを知ることで性能の違いを感じられる
一般的なタイヤはキャップトレッドと呼ばれるタイヤ接触表面のゴムに溝を配するためにある程度の厚みが必要だが、スリックのレーシングタイヤは溝を配することがないのでこの部分が薄くなる。またサイド面の保護層部分も薄くなっている。さらに一般タイヤはタイヤの裏側にチューブレスライナーという空気が抜けにくいゴム層があるが、レーシングタイヤはレースの間だけ空気が減らなければいいのでこの層も存在しない。このため一般タイヤに比べて重量は30~40%も軽くなるという。
現代のタイヤはラジアル構造といってタイヤの進行方向と垂直に交わるようにカーカスという繊維や鋼線を組み合わせたコード層を配置している。一方でレーシングタイヤの場合は進行方向に対して少し斜めになるカーカスを配置、その上に逆向きとなるカーカスを重ねる□ハーフラジアル構造□を採用。構造面で接地面積の最大化が図られている。この技術は一部のADVANタイヤにもフィードバックされ、高い操縦安定性能を実現している。