「このタイヤ凄えわ!」横浜ゴムの最先端タイヤ開発とサステナブル革命に衝撃を受ける
タイヤの摩擦力はトレッドコンパウンドの凝着摩擦(ゴムと路面の接触で発生するペタッとした摩擦)、ヒステリシス摩擦(ゴムの変形によって発生するネタッとした摩擦)、物理効果(ブロックやパターンなどによるもの)の3つの要素が重要。このうち凝着摩擦とヒステリシス摩擦を最大化することで、使用温度での摩擦力を最大にできるという。スーパーフォーミュラには速度、前後G、左右G、タイヤスリップ角、タイヤスリップ率、接地荷重など可能な限りのデータが収集できるデータロガーが搭載されており、これらをもとにタイヤ開発が行われている。
一般タイヤはもちろんだが最近はレーシングタイヤもサステナブルな原料の使用が求められている。たとえば石油由来の合成ゴムは天然ゴムやマスバランスゴム(製造や輸送時のサステナブル性を考慮したもの)、再生ゴムに置き換えることを検討、オイルや樹脂も天然由来に、カーボンブラックは再生品、シリカは籾殻から採取するなどの方式を検討。一部の技術についてはすでに採用段階でサステナブル素材の採用率は33%を実現。来年度以降に向けてサステナブル素材の使用比率の向上を目指しており、勉強会当日にはスーパーフォーミュラの主催団体JRPの会長である近藤真彦氏が、通称□赤寅□と呼ばれるテスト用のマシンにサステナブル素材60%のタイヤを履かせてデモンストレーションランを披露した。
予選終了後の記者会見にてタイヤについて野尻智紀選手に聞いたところ、なかなか興味深い話を聞けた。「富士はストレートが長いので1コーナーは柔らかい感じで入ります。ストレートを走っている間にタイヤの温度が下がってしまうからです。ストレートを走っているときに感じる風の冷たさで1コーナーのアタックが変わってきます。タイム差が出るのが終盤の第3セクターなので、そこでのタイヤの温度がベストになるように組み立てています」という。タイヤの使い方とはよく言うが、どのタイミングで交換すると言ったような簡単な話だけではなく、非常に細かくマネージメントしているのがわかる。