よくみると種類でキレイさが違う! 冷凍トラックに「ボコボコ」なクルマが多いワケ
積み下ろしの際にリヤを破損しやすい
道行くクルマを眺めていると、後部が不自然にボコボコになった箱型のトラックを見ることがあるだろう。テールランプの周辺やリヤバンパーなどが激しく破損しているトラックを見かけると、「派手に追突されたのだろうか」と思ってしまいがちであるが、その大半が冷凍車であることに気付かされる。それは、単なる偶然なのだろうか。 【写真】トラックには欠かせない!? ショルダーレールってなんだ? その答えは、NOである。後部がボコボコになっている大きな理由は追突事故などではなく、冷凍車ならではの業務体制や、仕事現場の環境によるものなのだ。それゆえにやむを得ない部分もあるのだが、キレイに着飾ったデコトラや美しさを維持しているようなトラックでは、ボコボコの車両を見る機会が圧倒的に少ない。そこには、どのような理由があるのか。かつて冷凍車のハンドルも握っていた筆者が、冷凍車ならではの特徴について綴りたい。 年中無休のコンビニエンスストアや、スーパーなどが一般的になった現代。そしてそれらの数が増えるとともに、冷凍車の需要も高くなってくる。賞味期限が短い食品や飲料、そして鮮度が命の鮮魚や野菜、さらには冷凍食品などを運ぶ冷凍車は、そんな年中無休24時間営業の店舗と深い関係にあるのである。 そのため、冷凍車による運送の世界では、365日稼働している会社が多くなる。もちろんドライバーの休日はきちんと確保されているのだが、トラックは別だ。大手やノーマルの冷凍車を数多く揃えるような運送会社はトラックを休ませることなく、ローテーションでトラックを回しているのである。 そのなかでも一般的なのは、トラックを担当しているドライバーが休みの日だけ、代わりのドライバーがそのトラックで仕事をするというもの。専用車ではないため私物は置けないし、自身の好みで内装や外装をカスタムすることもできなくなる。そのような会社にはトラック好きが入社することはないに等しく、結果としてただ仕事だから乗っているという職業ドライバーばかりになってしまうのだ。そうなるとトラックを大切に扱わないため、傷や凹みが生じてしまうのである。 それだけではない。荷物の積み下ろし現場の環境も大きく影響している。冷凍車の場合、リヤの扉を開けて、冷凍冷蔵庫に直結するバースと呼ばれる場所にトラックのリヤを接車させ、荷物の積み下ろしを行う。その際、冷凍冷蔵庫内の冷気を逃さないようにするため、そして虫の混入を防ぐため、スポンジやゴムでできたブースにトラックをブツけるような感じでぴったりと接車しなければならないのだ。バースの地面に該当する部分はコンクリートがむき出しの現場も存在し、バースの下部が奥まっている場所は良心的だがツライチの場合もあるため、きっちりと接車させるためにテールランプの部分やリヤバンパーなどを破損してしまうことがままあるのである。