ニトリの家電、本格展開へ 10万円のドラム式なぜ生まれた
ニトリが11月22日に発売したドラム式洗濯乾燥機(洗濯容量10kg/乾燥容量5kg)は10万円を切る価格とコンパクトさが特徴。その開発経緯について、ニトリホールディングスの似鳥昭雄 代表取締役会長兼CEOが語った。 【画像】ニトリホールディングスの似鳥昭雄 代表取締役会長兼CEO ニトリ赤羽店で行われた発表会で、似鳥会長は「10年前からこれまで小物家電のデザイン・設計を手がけてきました。これまでシングル需要向けの家電開発を中心に行なってきましたが、約2~3年前からファミリー層向けにも注力しています。今回、ようやく他社に負けない価格と機能を実現した商品を届けることができました」と開発経緯を説明した。 今回発売されたドラム式洗濯乾燥機は、洗濯容量10kg/乾燥容量5kgのタイプが99,900円。洗濯から乾燥までの一連の工程が約2kgの洗濯物なら60分で仕上がるという利便性と、奥行き約60cmのコンパクト設計が特徴。 ニトリは近年、冷蔵庫や洗濯機といった大型家電を含むラインナップを拡充しており、ニトリホールディングス 常務執行役員 ニトリの永井弘取締役専務によると「洗濯機、冷蔵庫を売り始めた3~4年前の家電のアイテム数は350ぐらいだが、今はほぼ倍近くになっている」とのこと。家電のカラーは基本的に黒か白で、コーディネートしやすい点も魅力だという。 今後、ニトリでは「家具、ホームファッションのソフト(寝具やカーテンなど)・ハード(キッチンツールや食器)に加え、家電があれば、お客様は買いやすく、住まいについて全部揃えることができる。そのために、家電に力をいれていきたい」(似鳥会長)とのこと。3年後には全店に家電売り場を広げたい考えを示した。 ニトリでは、現在東京・大阪合わせて約70名のメンバーで商品開発を行なっており、家電メーカー出身者も数多く携わっている。 「よくあるプライベートブランド家電のように低価格でシンプルな家電ではなく、お客様が日常の中で抱えていて、それを当たり前だと思って諦めてしまっているような、そんな常識を変え、暮らしを豊かにしていく商品を開発していく」と、ニトリホールディングス 執行役員 グローバル商品本部 家電マーチャンダイザー マネージャーの奥田哲也さんは説明。今回のドラム式洗濯機は、同社のそんな思いを実現した家電だ。 ■ 「ニトリ」だからこの価格で販売可能に 奥田氏はさらに、「価格を下げるために機能を意図的に削ったわけではありません。お客様の暮らしをみて、Wi-Fiに繋がる機能や液晶ディスプレイなど不要だと思う機能は外しています。ではなぜ今回安くできたかというと、1番の答えはニトリだからということ。製造、物流、店舗網などニトリの体制でコストを縮小できたところが大きい」とした。 ニトリでは家電量販店のエディオンと家電の共同開発も行なっている。11月15日に発売した「コードレスクリーナー MA201SC」はエディオンと共同開発した製品の1つ。 家電量販店のエディオンと共同開発することで、他社メーカーと比較した時のお客のニーズや反応、ファミリー層が求める機能などのフィードバックが得られ、より市場ニーズを捉えた製品の開発が期待できるとする。なお、今回のドラム式洗濯乾燥機の開発に関してエディオンの協力はない。 ニトリは今後とも積極的にファミリー向けの家電を開発・発売していくとする。
家電 Watch,伊森 ちづる