清原正吾はなぜ“指名見送り”だったのか? あるスカウトの本音「本当に力のあるバッターだったら…」 2024年《運命のドラフト会議》その後の物語
監督「2年後に絶対チャンスが来るって、信じています」
大学野球の監督さんも、この時期、お世話になっている高校監督への挨拶と、再来年の春に入学予定の高校2年生の様子を確かめに、球場に足を運ぶ。 「柳舘にも、いくつか声をかけてくれた球団はあったんですが……。でも、幸い社会人に進めますし、彼のここ一番で『バチーン! 』といける勝負根性は誰にも負けてないですし、2年後に絶対チャンスが来るって、私、信じていますから」 大学の4年間は長い。いろいろあったはずの20歳前後のその長い時間、同じ空間を共有してきた指導者に、信頼されて社会人球界に送り出される。 それもまた、あまり報じられない「裏ドラフト」の一面であろう。 「ドラフト指名漏れ」という悲しい言葉が使われているが、惜しくも指名を逸した選手たちは、決して「実力不足」がその理由だと考えてほしくない。 投手の仕事は打者のタイミングを外すことであり、打者の仕事は投球にタイミングを合わせることである。同様に、人生で大切なのも「タイミング」である。 今回の指名見送りは、「君はまだちょっと早いんだよ」……プロ側からのそうしたメッセージであると考えるのが、現実にいちばん近いであろう。足りないのは実力ではなく、「精進の量」なのだ。 毎年、アフター・ドラフトで見聞きされる悲喜こもごものあれこれ。 「2024ドラフト」指名見送りの選手たちのこの先に幸多からんことを、心からお祈りしている。
(「マスクの窓から野球を見れば」安倍昌彦 = 文)
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