清原正吾はなぜ“指名見送り”だったのか? あるスカウトの本音「本当に力のあるバッターだったら…」 2024年《運命のドラフト会議》その後の物語
身体の状況、順位縛り…中継だけでは「見えない要素」も
昨年、つまり「2023ドラフト」の影響も大きいという。上位2位までに指名された19人の投手の中で、1年目早々にトミージョン手術など、肩、ヒジの手術で戦列を離脱したままの快腕・剛腕が5人もいる。 「ほんとのところ、全力で野球ができる体なのかというのを『しっかり確認しろ! 』と、会社からもいわれます。それに、2位縛り、3位縛りという社会人チームからの制約も最近はすごく増えてきた。そんなこと発表されないですから、『ええっ、あの選手、どうして』ってことになる。 これ、私たちからすると、逆に『ええっ? 』なんですよ。だいたい『4位ぐらいかなぁ』という選手が2位縛り、『5位か下位指名だろ』という選手が3位縛り。私たちの評価とは、おおむね2巡差ぐらい。それじゃあ、指名されませんよ」 意外な指名見送りの理由には、こんなこともあるという。 「今は立派に選手をやっているけど、実のところ人間性はどうなのか。高校の時どうだったのか、中学の時どうだったのか。コンプライアンスっていうんですかね。一選手として実力と同等に、野球というチームスポーツに対する適性や、職業人としての人格なんかも評価の対象になってきていますから」 ならば、慶應義塾大・清原正吾指名見送りはどうだったのか? 「お父さんもPL(学園)の3年生のドラフトで、巨人だと思っていたのが西武で涙流したらしいので、気の毒だとは思います。でも、実力的に今じゃないと思います。 確かに慶應大学の4年間で飛躍的に成長したのは間違いないですけど、それでもチームは5位(今秋)でしょ。本当に力のあるバッターだったら、もう少しチームを勝たせてもいい。いずれにしても、今は時期尚早っていうのがプロ側全体の見方だったんじゃないですか」 帰路のバスで、國學院大學・鳥山泰孝監督と一緒になった。 國學院大からも、シャピロ・マシュー・一郎投手(193cm103kg・右投右打・國學院栃木高)と、打線の中枢をつとめてきた柳舘憲吾内野手(180cm87kg・右投左打・日大三高)の2選手が指名見送りになっていた。 「シャピロは、独立(リーグ)にお世話になると思います。リーグ戦で使った時に、コントロール不安を見せてしまったのが痛かった。高校3年で時間が足りない、大学4年でも時間が足りない。150キロ近いボールを投げられる大器ですけど、なにぶん未完ですから。独立が合っていると思います」 明るく、先だけを見ている話に救われる。
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