2.主婦（主夫）年金は2025年に廃止される? 廃止検討の背景

女性のライフスタイルの変化やさまざまな要因により、主婦（主夫）年金は今後廃止される可能性があります

　「主婦（主夫）年金は2025年に廃止される」と、まだ決定したわけではありません。しかし、将来的には廃止する可能性もあるといわれています。 　この章では、主婦（主夫）年金制度の廃止や見直しに関する議論の要因となっている社会的背景についてわかりやすく解説します。 　2025年は5年に1度行われる年金制度改正の時期となりますので、今後の政府の動きに注目しておきましょう。 （1）女性のライフスタイルの変化 　主婦（主夫）年金制度が制定された1986年当時と比較して、現在は女性の社会進出が多くなりライフスタイルも変化してきました。 　子どもが生まれた後も働き続けることを望む共働き夫婦や、独身で働く女性が増えてきたことが要因となり、近年、第3号被保険者の加入者数は減少してきています。 （2）自営業者の配偶者や独身の会社員が感じる不公平感 　第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者は、厚生年金保険料を納めずに将来年金を受給することが可能です。 　これに対し、自営業者の妻は第1号被保険者であるため、世帯主の国民年金保険料や国民健康保険料とは別に、自分の保険料を納める必要があります。 　このように、自営業者の妻と会社員の妻との間には「負担額の格差がある」という理由から、不公平感が生まれています。 　また、第3号被保険者の保険料は、第2号被保険者が全員で負担するという制度の仕組みとなっているため、独身の会社員であっても負担しなければならないことに対しての不公平感が多く存在します。 （3）「年収の壁」による働き方の調整 　第3号被保険者は、年収が130万円以上あると第2号被保険者の扶養から外れてしまい、社会保険料を負担することになります。 　これを「年収（130万円）の壁」といい、一定の収入額を超えると税金や社会保険料の負担が生じる基準のことを指します。一定の条件を満たした場合に社会保険への加入が必要となる「106万円の壁」と共に問題となっています。 　年収の壁の問題は、「働き控え」です。年収の壁により、収入が上がると同時に、税金を払う義務が発生するために手取りが減ってしまい「働き損」となります。そのため、扶養の範囲内で収まるように勤務時間を減らす人がいるのです。 　これにより「主婦（主夫）年金による働き控えが企業の人手不足という大きな問題へと繋がっているのではないか」といわれており、以前から議論されています。