4.主婦（主夫）年金廃止に対する問題点

主婦（主夫）年金廃止にともなう問題点を3つ紹介します

　時代の変化とともに、主婦（主夫）年金廃止を求める声が多くなりつつあります。たしかに廃止することによるメリットも大きいですが、問題点も存在します。 ここでは、主婦（主夫）年金廃止に伴い起こりうる問題点を3つ紹介します。 （1）賃金が上がっていないのに負担が増えてしまう可能性がある 　「賃金が上がっている」という政府からのデータが出ている一方で、「賃金が上がっている」と感じている人は少ないのではないでしょうか? これは、「実質賃金」が上がっていないことが理由の一つと考えられています。 　厚生労働省の「毎月勤労統計調査　令和5年分結果速報」によると、パートタイム労働者が実際に受け取った給与額（名目賃金）が104,570円で前年比2.4％増というデータが出ましたが、名目賃金から物価上昇分を除いた金額（実質賃金）は前年より2.5%減となり、2年連続で減少しました。 　つまり、名目賃金が前年より増えていても、物価の上昇率が名目賃金の上昇率を上回っているために実質賃金は減少し、苦しい生活水準を改善できない状況が続いているということです。 　この状況に加えて主婦（主夫）年金が廃止されると、賃金が上がっていないのに毎月の給与からさらに社会保険料が差し引かれることになるため、以前よりも負担が増えてしまう可能性があります。勤務時間を増やすことができない人は、手取り額が大幅に減ってしまうリスクもあるでしょう。 （2）家庭環境や事情により働けない人に対しての配慮が必要になる 　主婦（主夫）年金の廃止は、理由なく自ら働かないことを選んでいる人だけでなく、働きたくても働くことができない人に対しても影響があります。 　育児や介護などの家庭環境や、健康面の事情により働けない人にとっても経済的負担が増えてしまうことになるため、配慮が必要となってきます。 （3）結婚率の低下や離婚率の上昇につながってしまう懸念 　主婦（主夫）年金制度が廃止となってしまうと、会社員や公務員との結婚によって得られる主婦（主夫）年金加入のメリットがなくなります。これにより、結婚率の低下や離婚率の上昇につながってしまうのではないかと懸念されています。 ※参照：厚生労働省「毎月勤労統計調査　令和5年分結果速報」（https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/23cp/dl/pdf23cp.pdf）