主婦（主夫）年金は廃止される? 増える税金に対していまからできる対策
最近「主婦（主夫）年金が廃止されるかも」という内容のニュースを目にします。現在配偶者の扶養に入っている人は、主婦（主夫）年金の廃止によって家計が苦しくなってしまうことを懸念しているのではないでしょうか。 この記事では、主婦（主夫）年金の全体像、社会的背景、廃止に対する問題点、対策などについてわかりやすく解説します。
1.主婦（主夫）年金（第3号被保険者制度）とは
主婦（主夫）年金とは、国民年金の「第3号被保険者制度」のことをいいます。端的にいうと、厚生年金加入者（つまり会社員や公務員）の配偶者が、（一定の条件を満たしていれば）保険料を支払わなくても基礎年金を受け取れる制度のことです。 主婦（主夫）年金についての理解を深めるために、公的年金制度の仕組みと、第3号被保険者制度がつくられた背景を見ていきましょう。 （1）公的年金制度の仕組み 公的年金制度では、「国民年金」と「厚生年金保険」の2種類が存在します。基礎年金と呼ばれる国民年金は、20～60歳未満の全ての人が加入対象です。さらに、会社員や公務員の場合には、厚生年金にも加入するという2階建ての構造で成り立っています。 国民年金（基礎年金）は第1号、第2号、第3号の3種類に分かれており、年金加入者のことを「被保険者」と呼びます。 第1号被保険者には、自営業者、農業者、フリーター、学生、無職の人などが該当します。国民年金保険料は自分で直接納付し、将来は国民年金（基礎年金）を受け取ります。 一方、第2号被保険者に該当するのは、会社員、公務員の人です。職場の厚生年金保険へ加入し、社会保険料（厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料、労災保険料）として毎月の給料からの天引きによって納付をします（厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料は事業主と折半です）。厚生年金保険の加入者は、将来国民年金（基礎年金）に加えて厚生年金を受け取ることができます。 第3号被保険者は、第2号被保険者の扶養家族が該当します。よく「主婦（主夫）年金」と呼ばれていますが、すべての主婦（主夫）が該当するわけではありません。 主婦（主夫）年金制度の対象になるには、以下の条件が必要です。 ●第2号被保険者の扶養家族となっていること ●年収130万円未満であること ●配偶者の年収の2分の1未満であること なお、主婦（主夫）年金制度の対象は「配偶者」に限定されており、子どもには適用されません。 （2）主婦（主夫）年金制度がつくられた背景 主婦（主夫）年金制度は、1985年の公的年金制度改正によってつくられた年金制度です。 それまでは、専業主婦の国民年金への加入は任意でしたが、老後資金への不安や、離婚した場合には年金をもらえないなど、多くの問題がありました。 そこで政府は、国民皆年金制度を導入するにあたり、専業主婦も国民年金に無料で加入できる「第3号被保険者制度」を創設したという経緯があります。 制度創設当時と比較して、現在のライフスタイルや働き方が変化していることが背景となり、主婦（主夫）年金制度の廃止や見直しが繰り返し議論されています。 ※参照：第3号被保険者制度｜厚生労働省 （https://www.mhlw.go.jp/shingi/0112/s1214-3g.html）
