中学受験って、意味あるの? 不合格で絶望するSNSの声…親はどう子どもに声掛けすべきか?
過去最多受験者数だった2023年に引き続き、多くの子どもたちが中学受験に挑んだ2024年。各校の合格発表後、SNSなどでは親たちの様々な思いが飛び交い話題となりました。特に第一志望ではなく、すべり止めの学校に行く場合、親も子も計り知れない時間をかけたぶん、なかなか気持ちを切り替えられないケースも見られます。そこで今回は、不合格になったとしても中学受験にどう意味合いをつけるのか。親のマインドセットのあり方を、中学受験専門塾「伸学会」代表の菊池洋匡さんに聞きました。 【実録漫画】母が鬼の形相…「宿題やろうね!」朝の余裕ある表情から昼すぎにはツノが生え…我が子にどう勉強させる?
■第一志望に不合格、そんな時、真っ先に必要なのは「親が気持ちを切り替えること」
親子二人三脚で受験勉強に励んできたのに、受け取ったのは不合格通知。受験にかけた時間やお金を考え、家庭内が重い空気感になることも想像に難くありません。子どもが期待通りの結果を出せなかった時、親はどのような態度で子どもに接したら良いのでしょうか。オンラインサロンや保護者セミナーを通じて多くの家族と関わってきた菊池さんは、“親子間のギャップ”を指摘します。 「まずは、親御さん自身の気持ちの切り替えが必要です。お子さん自身は受験に落ちて落ち込むことってそんなにないというか…むしろケロッと切り替える子の方が多いんです。落ちた直後は悔し泣きしたとしても、遅かれ早かれ落ち着きます。ただ、親御さんがいつまでも気にしてウジウジしていると、子どもも気にして、ずっと引きずり続けてしまいます。だから、親御さんが気持ちを整理することが“真っ先に必要”なんです」 小学生はまだ「親に褒められること」をモチベーションとする時期でもあり、不合格で「親をがっかりさせてしまった…」と悲しむことも。そんな子どもには、どのような声掛けや意識づけが必要なのでしょうか。 「まず、本人が悔しくて泣くのと、親をがっかりさせてしまったと思ってションボリするのは、全く別モノです。親がするべきことは、落ち込んだ子どもの気持ちを引き上げる働きです。でも親をがっかりさせてしまったと思って子どもがションボリするというのはそれとは逆ですよね。親が子どもの気持ちを引き下げてしまっています。これは良くないですよね。 ただ、そうならないように本当はがっかりしているのにがっかりしていないふりをしても、残念ながら子どもには伝わってしまいます。だから、まずは親御さんが心から『どんな結果になろうと、結果以上に大事なのはこれまで頑張ってきたことだ』という信念を持てるように、何度も自分に言い聞かせておきましょう。そして、その価値観を家庭で意思統一することが大切です。もしお子さんが不合格になって落ち込んでいたら『どんな結果になっても頑張ってきたことが大事だし、応援してきて楽しかったよ』とあらためて伝えてあげてください。そうすれば、結果だけにとらわれることなく、お子さんも切り替えやすいと思います。もしこれを読んでいる方がこれから受験をされる方であれば、事前に伝えておくとより良いでしょう」 結果ではなく、これまでの道のりを肯定し、前向きな言葉をかけることで、子どもは前に進めると菊池さんは考えています。しかも、第一希望にこだわる必要がないことを裏付けるデータもあるのです。 「そもそも第一志望の中学に行っても、第二志望の中学に行っても、人生の幸福度は大して変わらないということが、教育経済学の研究で分かっているんです。親御さんたちは、第一志望に落ちたらこの子の人生は不幸なものになるかもしれないと心配してしまうのですが、それは実体として間違っていて、第一志望の学校に行っても第二志望に行っても大学受験の時の成績はたいして変わらないという追跡調査の結果があるんです。大学進学率の差も、偏差値の高い子が入学した結果生まれる差であり、入学後の成長が生み出した差ではないと思います」 入学する中学により、大きな差は生まれないと菊池さんが考える理由は、他にもあります。 「ご家庭によって好きな校風って似ているじゃないですか。ゴリゴリに勉強をさせる学校と、自由奔放・好き勝手させる学校。その2つを比べたら、6年間でマインドや成績は変わってきそうですが、似たような校風の学校であれば、わずかな偏差値の違いがあったとしても、その後の人生が大きく変わることはありません。だから、第一志望に落ちたからと言って、心配する必要は全くないんです」