【SHEIN・Temu】商品から「有害物質」続々検出で悲惨な状況…安価の代償に“がん”リスク
基準値を超えた発がん性物質商品の危険性は?
編集部: 今回報じられたニュースでは、基準値を超えた有害物質が複数報告されています。中には発がん性が指摘されている物質も含まれていますが、こうした商品についての受け止めを教えてください。 中路先生: 近年、衣類や玩具などに含まれている「化学物質」の有害性について注目が集まっています。衣類のシワ防止加工に使われる「ホルムアルデヒド」には発がん性や皮膚刺激作用が知られていますし、玩具のプラスチックに含まれる耐久性や柔軟性を高める「フタル酸」は乳がんや注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害などの精神神経疾患、肥満・2型糖尿病などの成人病の発症に関連していると言われています。 このように、衣類や玩具に使用されている化学物質と聞くと、全て危険で有害なような印象があります。しかしその一方、化学物質はファッション・玩具の業界に欠かせない物質であり、その発展・安全性に寄与し、現在も広く使われています。特に衣服や玩具を燃えにくくする「難燃剤」は、その安全性を確保するのに不可欠です。化学物質を完全に排除することは難しく、同様の特性を持つ代替品を見つけても、科学的な安全性の比較はほとんどなされていません。そのため、どの程度の含有量なら許容されるかの判断が重要であると考えられます。 今回の報告では、たまたま中国の企業が取り上げられていますが、おそらく他国の企業の製品にも、同様の事例の存在があると思われます。実際に「子ども用玩具の2割に有害な化学物質が含まれている」との海外からの報告もあり、玩具を選ぶ安全基準も曖昧で、親が玩具を選ぶ際に参考になる国際基準の決まった認証マークもありません。今後は国際会議などの公の場で、これらの化学物質の安全基準に基づくユニバーサルな認定マークの作成が必要と思われます。
編集部まとめ
韓国のソウル市当局は、中国ECサイトの「SHEIN」「Temu」「アリエクスプレス」で販売されている商品の一部から、基準値を大幅に上回る有害物質が検出されたと発表しました。安価で購入できることが魅力的な中国のECサイトですが、こうした有害物質の検出にどう対応していくのか注視する必要がありそうです。
監修医師
中路 幸之助 先生(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター) 1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。