「性病」は無症状が多いことをご存じですか? 前兆や早期発見の重要性も医師が解説
性病を早期発見する重要性
編集部: 性病を放置すると、どのようなリスクがあるのですか? 永井先生: 疾患によりますが、例えばクラミジアを放置すると、女性の場合は卵管や卵巣、骨盤腹膜などで炎症を起こし、いずれは不妊症の原因になることもあります。また、男性においてもクラミジアに感染すると尿道炎が起こり、やがて精巣上体にまで炎症が広がって、男性不妊の原因になり得ます。 編集部: そのほかの疾患についてはいかがでしょうか? 永井先生: 梅毒は病期によって第1期から第4期まで分類されます。感染後、3カ月が経過すると梅毒の細菌が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、体幹部などに淡い赤い色の発疹が出ます。現在はこの時期までに治療されるケースが多くなりましたが、治療せずに放置すると将来的に心臓や脳神経に関わる合併症を招く可能性があります。最悪の場合は、命のリスクになることもあります。 編集部: 命を落とすこともあるのですね。 永井先生: 梅毒以外にも、命のリスクになり得る性病はあります。例えば、HIV(エイズ/ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると年単位で免疫細胞が破壊されていき、やがてエイズを発症します。無治療で放置すると免疫力が失われ、病気にかかりやすくなって死に至ることもあります。 編集部: できるだけ早く検査を受けることが大事ですね。 永井先生: はい。一般的に、性病は自然治癒するものではなく、きちんと医療機関で治療をおこなうことが重要です。違和感があるのに放置すると、知らない間にパートナーにうつすなど、感染者を増やす可能性があります。できるだけ早めに検査を受けるようにしましょう。その際は、念のためパートナーも必ず受けるようにしましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 永井先生: 1人で複数の性病を発症していることは珍しくなく、同時に治療するケースも少なくありません。そのため、検査を受けるときには喉や性器などまんべんなく検査してくれる医療機関を選びましょう。また、1つの菌やウイルスだけでなく、複数の疾患に対しても検査してくれる医療機関に受診すると安心です。