株投資の達人が解説する「四季報」の正しい見方…お金の出入りに注目しろ!
株式投資でお宝銘柄を探す際に外せないのが、企業のお金の出入りに問題がないかをしっかりと見ること。1冊2000ページにも及ぶ『会社四季報』を27年間で108冊全ページ読破する渡部清二さんの新著『そろそろ投資をはじめたい。』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。 【写真】5年後、10年後に「生き残る会社/消えている会社」を実名公開!
企業の生命維持装置
少し重たいたとえになりますが、「人間にとっての死」とはどういう状態だと思いますか?生物学的には、心臓が止まり、呼吸がなくなり、脳の働きが完全に停止した状態を指すでしょう。 それでは、「企業にとっての死」とはどんな状態でしょうか?それは、資金繰りがうまくいかず、お金のやり取りができなくなり、破産する状態です。心臓が止まり、血液が巡らなくなると人間が死ぬように、企業もお金のやり取りが止まると死んでしまう(破産してしまう)のです。 そういった意味で、『会社四季報』の個別銘柄ページEブロック【キャッシュフロー】欄を私は「生命維持装置」と見ています。 キャッシュフローとは「お金のやりくり」のことです。「お金の入りと出」ともいえます。 なぜ、キャッシュフローを理解しなければならないのか。 それには次の二つの理由があります。 企業が続くか、継続性がわかるから企業の業績とキャッシュフローというお金のやりくりは、一致しないことがあるから この2点を理解するために、まずは2種類のキャッシュフローを理解しましょう。 キャッシュフローは「営業キャッシュフロー」と「投資キャッシュフロー」に分けられます。お好み焼き屋さんの経営を例に考えてみましょう。 営業キャッシュフロー 営業キャッシュフローは、本業に関わるお金の収支です。もう少しわかりやすい表現をすると、「現金の入りと出のやりくり」のことです。 お好み焼き屋さんでお好み焼きを売ると、現金がお店に入ってきます。お好み焼きの原材料費を業者に支払うと現金が企業の外に出ていきます。この入ってくるお金と出ていくお金の差し引きが、営業キャッシュフローです。 営業キャッシュフローは当然プラスが望ましいです。プラスを大きくするには、売上高の現金回収を早くし、コストである支出を少なくすることが重要です。 ところが、仮に1万円分のお好み焼きが売れたとしても、原材料費にこだわりすぎて2万円かかってしまうと営業キャッシュフローはマイナスに……。これではお店は続かない……と思いきや、それでもお店を続ける方法があるのです。その方法は後ほどお伝えします。次に投資キャッシュフローです。