株投資の達人が解説する「四季報」の正しい見方…お金の出入りに注目しろ!
キャッシュフローから危険な経営状態も気づける
世の中には、定性評価と健全性が良くても継続性の良くない企業があります。健全性が高ければ、企業の設備や工場など何かしらを売却して存続することができます。しかし、そうではないケースもあるのです。 「黒字倒産」という概念があります。株式投資や企業経営に詳しくない方にとっては、黒字と倒産という正反対にも思える言葉の組み合わせに違和感を覚えるかもしれませんね。 新興不動産などに多いのですが、売上高や利益からは健全に見えるけれども、営業キャッシュフローがマイナスで、なおかつ財務キャッシュフローがプラスになっている状態は要注意です。事業は継続していますが、銀行からの借り入れだけで操業しているわけで、銀行が融資をストップした瞬間に破綻します。出血多量の人に輸血をしている状態、つまり、輸血が続いているうちは生きていますが、輸血がストップした瞬間に亡くなってしまうのと同じです。 企業以外の例でたとえると、このようになるでしょうか。 ローンを組んでものすごく豪華な家に住んでいても、本業がうまくいかなくなって収入がなくなり、家を売却することになった。 毎晩のように飲み歩き、気前よく後輩に奢り、ボーナス時にまとめて返済するつもりでツケ払いにしていたが、ボーナスがゼロになり返済不能になって資金繰りで行き詰まった。 こうした状態をしっかり見極めるためにも、キャッシュフローをチェックしましょう。 『株式投資の最強アイテムは『会社四季報』…「予想が当たらない」人が間違っている使い方』では、『会社四季報』の強みを解説する。
渡部 清二(複眼経済塾 代表取締役・塾長)